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非正規の中年女は「透明人間」
「兄が仕事で付き合いのある会社の役員という人で、54歳。先妻さんとは死別していて、2人の息子は社会人と大学2年生だということでした。兄からは、この先ずっと独りでは将来が心配。両親だっていつかは遠くへ行ってしまう。下手したら路頭に迷うことになるぞと言われました」
いきなり後妻の口とは心穏やかではないが、自分に対する社会の評価はこんなものなのだろう。
「女性活躍の推進というけれど対象は正社員だけ。自治体の支援も既婚者で学齢期の子どもがいる世帯しか念頭にない。独身、子なし、非正規の中年女なんていないものとして扱われる。まるで透明人間みたいに」
自分は女の格付けで最下位、味噌っかすみたいなもの。こう考えるのは被害妄想か……。
「何が悪かったのか。どこが分水嶺だったのか。それが分かったらその時まで戻って人生をやり直したい」
そんなことは不可能だけど。
