中国企業の乱開発に反対

 スイダニ 中国の関与をなぜ疑うかと言えば、私が中華系企業によるソロモン諸島の開発に強く反対してきたからです。ソロモン諸島は木材輸出のために過去40年にわたり森林伐採や開発を続けてきた歴史がありますが、2019年にソガバレ政権が中国に外交転換した途端に、続々と中華系マレーシアの企業が進出してきました。今までも、無計画な伐採を進めた結果、ソロモン諸島の森林資源は徹底的に破壊されてしまいました。しかも、中国企業が潤うだけで、ソロモン諸島には利益が入ってこない仕組みになっていた。こうした中国企業の進出のあり方に私たちは反対してきたのです。

南太平洋地域で深刻化する「中国支配」を示した図 ©文藝春秋

 中国による強引な支配は他にもあって、国民の同意を得ずに憲法を改正して選挙の日程を延期させたこともその一つです。その背景には(2023年)11月に行われる南太平洋諸国の競技大会「パシフィックゲームズ」が影響しています。今回で17回目を迎える大会ですが、中国の莫大な資金援助によって建設された競技場などで開催します。つまり中国肝煎りの大会を無事に終えてから選挙を行うという、中国に配慮した判断が下されたのです。

ソロモン諸島の首都・ホニアラでは2021年に暴動が起きた。中国寄りの政権に対する嘆願が発端で、「民主主義的な性格のもの」と福島氏は説明する ©時事通信社

 中国の支配力が強まるなかで、言論統制が進み、人々は自由に発言することに恐怖を感じています。現在のソロモン諸島の国民の90%が、台湾から中国への外交転換に反対していますし、中国寄りのソガバレ政権のもとでの生活に不満を持っています。

ADVERTISEMENT

 現在、私は「エグザイル」(亡命中)であると言われることもありますが、諸外国を巡っているのは、将来のソロモン諸島に資するさまざまな情報を得ることが目的です。ニューヨークにある国連の会議に参加して、ソロモン諸島の窮状を訴えたり、民主主義国家であるアメリカやカナダなどの状況を視察したりしています。

 もちろん普通の生活は送れていません。とくに私の子どもたちは、ソロモン諸島で非常に危険な状態にあって、安心して学校に行くことすらできません。

この続きでは、ソロモン諸島の中国支配の実態と、日本に期待する役割を語っています〉

※本記事の全文(約9500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(日米激戦地 ガダルカナルで進む「中国支配」)。この記事の元になったオンライン番組とあわせてご覧ください。

【オンライン番組】日米激戦地 ガダルカナルで進む「中国支配」 約76分

次のページ 写真ページはこちら