1万基100億円の「おいしいビジネス」
墓ビルは建物内を自動化して収容力を高めている。中には1棟で1万基もの収容力を持つビルまであるという。1基100万円だとして1万基で100億円にもなるのだからおいしいビジネスともいえる。だがこれらも「満杯」になったあとはひたすら「管理」していくことが必要になる。一般的には管理費などを徴求する形をとっているが、さて管理費はいつまで取ることができるのだろうか。最初に永代供養としてまとまった費用を徴求できたとしても墓守は永遠である。
大規模修繕できるのか
建物は「有限」であることから当然のことだが大規模修繕も必要になる。50年、60年先には「建替え」も必要となるかもしれない。そのときこうした費用はどこから出ていくのだろうか。墓ビルに対しては宗教法人施設の敷地内限定とする、あるいは宗教法人が一定以上関与する法人の所有に限定するなど規制を施す自治体もあるが、どのようにして建物を維持管理していくのか、まだ不透明な部分も多いのが実態だ。
建造費や管理費に莫大な資金がかかるため、約5000基を管理する自動搬送式納骨堂を建造した寺が破産(福井県永宮寺)したり、寺院ではなく運営会社が脱税で逮捕される(大阪府「梅旧院光明殿」)といった事件も起こっている。
維持費用が途絶え、誰も管理せず、放置されるような墓ビルが将来都内のあちこちに出現したらどうなるのだろうか。墓ビルが「スラム化」してお化け屋敷になるなどという笑えない話にもなりかねない。墓ビルそのものが、都市における大量の「墓碑」そのものになっていくのだ。永遠に存続することができない器に「永久に存在するはずの」お墓を管理していくことの矛盾にまだ多くの墓ビルが気付いていない。