今年もお盆の季節がやってくる。毎年この季節はふるさとに帰省する客で鉄道や飛行機、高速道路などが混雑する光景が「お決まり」の映像としてメディアを賑わせる。
お盆のそもそもの目的は、先祖のお墓にお参りしてその霊をなぐさめるところにある。帰省客のどれだけが実際に墓参りに行っているかはわからない。どちらかといえば地方出身者は、墓参りというよりも親戚への挨拶や卒業した学校の同級生が集まって互いの状況を語り合うなどという場になっているのが実態かもしれない。
理由はともあれ、人間誰しもが亡くなれば入居するのが墓である。亡くなった方を想うお盆の季節、今回は墓の問題を考えてみたい。
毎年40万人減っている
日本の人口は2015年の国勢調査で初めて減少に向かっていることが発表された。人口が減少する理由は生まれる赤ちゃんの数より亡くなる人の数が多い、つまり「人口の自然減」の状態に日本があることを示している。
2017年の出生数は94万1000人だったのに対して、死亡者数は134万4000人。なんと日本は人口の自然増減においては年間で40万人もの純減を記録している。実際の日本の総人口は22万人ほどの減少と発表されているが、この差は在留外国人の数が急激に伸びているからである。今や日本の人口減を一生懸命外国人在留者の伸びという「社会増」で補っているというのが現代日本の姿なのである。
今後10年で約1000万人が死んでゆく
さて日本は高齢社会に突入したといわれているが、この影響は今後死亡者数の激増という形で社会に様々な問題を投げかけてくる。1966年(昭和41年)日本の死亡者数は67万人と戦後最低を記録している。当時の日本は戦後生まれの男女が世の中を闊歩する若々しい社会だったのだ。それがこの50年間で死亡者数は倍増したことになる。医療施設が整い、高齢者施設が数多く建設され、長寿社会が実現したとはいえ人間、いつかは死ぬ。そしてこれからの日本は「死ぬ」可能性の高い人が激増する状況にあるのだ。
厚生労働省の予測によれば、2040年には死亡者数は166万人と今よりさらに24%も増加するとしている。それもそのはずである。2015年9月総務省の発表によれば、現在国内では80歳以上の人口が1002万人。対前年比で38万人の増加となり、初めて1000万人の大台を超えたという。さらに90歳以上の人口は206万人、100歳以上の人口でも6万7000人となっている(2017年総務省、厚労省発表)。どんなに長寿社会になるからといっても、この数値だけから判断して今後10年くらいの間で1000万人近くの人が亡くなっていくことは誰が見ても明らかだからだ。