シャレにならない世界情勢は「ジョーク」で笑い飛ばすしかない! 習近平、トランプら独裁者の「生態」からお隣の国の「本音」まで、世界中のジョークを集めた早坂隆『世界はジョークで出来ている』から傑作選!
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元スパイの大統領をジョークにするなら
1999年、エリツィンは辞任を表明。後継の大統領として指名されたのが、ウラジーミル・プーチンである。
プーチンは1952年、レニングラード(現・サンクトペテルブルク)の生まれ。父親は機械技師、母親は工場の労働者で、決して裕福な家庭ではなかったという。
そんなプーチンだが、幼少時から近所でも評判の「悪童」。しかし、そんな彼を救ったのが、柔道との出会いであったとされる。プーチンは柔道にのめり込む中で「更生」したという。
レニングラード大学の法学部を卒業した後、ソ連国家保安委員会(KGB)に勤務。情報将校を育てるための士官学校である対外情報アカデミー(KGB赤旗大学)でも学んだ。
1989年の「ベルリンの壁崩壊」の時には、KGBの諜報員として東ドイツに滞在していた。東側陣営が解体していく様を、最前線で目の当たりにしたという。
プーチンはツイッターをしない
その後、祖国に戻ったプーチンは、サンクトペテルブルク市の対外関係委員会議長や第一副市長などの要職を経て、中央政界に進出。ロシア大統領府で監督総局長や第一副長官などを務めた。
1998年にはロシア連邦保安庁(FSB)の長官に就任。翌1999年、首相に任じられ、同年末に引退を宣言したエリツィンにより大統領代行に指名された。
大統領となったのは2000年のことである。以降、「垂直の権力」と呼ばれる強権体制を構築していった。
そんなプーチン、元KGBというだけあって、「歩き方」からして違うとか。プーチンは歩く際、右腕の振り幅が左腕よりも小さいが、これは「銃を素早く抜くための歩き方」なのだという。KGBの工作員時代に徹底的に叩き込まれた歩き方らしい。
私生活では柔道の他、ピアノが得意でその腕前は周囲が驚くほど。
また、本人が語ったところでは、
「インターネットはほとんど使わない」
「スマートフォンも持っていない」
とのこと。もし本当ならば、ツイッターを駆使するアメリカのトランプとは極めて対照的である。
2018年3月には大統領選に勝利。通算4度目の当選を果たし、2024年までの長期政権を手中に収めた。首相時代を含めれば、実にほぼ四半世紀にわたって権力を握ることになる。
●羊
元KGBであるプーチンは、実際に自分の目で見たものしか信じないという。
ある時、プーチンは側近たちと共に、シベリア鉄道に乗って移動していた。すると車窓から、毛の短い羊の群れが見えた。一人の側近が言った。
「あの羊たちは最近、毛を刈られたようですね」
それを聞いたプーチンは、表情一つ変えずにこう答えた。
「ああ。少なくともこちらの側面だけはね」