「手元に残るのが500~600万円。これでもかなり増えたんですよ」

——売り上げはまるまる手元に残るんですか?

魅影 自分の場合は、4町のうち1町5反が借りている土地なので、小作料としてその田んぼで取れたお米の何割かか、その分のお金をお渡ししてます。あとは種とか機械のお金を払って、手元に残るのが500~600万円くらい。そこから税金や健康保険料も払います。でも今年はお米の価格が上がったので、これでもかなり増えたんですよ。

——去年まではもっと厳しかった?

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魅影 2024年は卸値が1俵あたり2万5000円でしたけど、その前までは1万~1万3000円くらいの時期がずっと続いてたんです。でも1万3000円くらいだと、経費を差し引いたらほとんど手元に残らなくて。コロナの時期は9000円だったので「さすがに無理!」って思ってました。

 

——それだと生活も厳しそうですよね。

魅影 田んぼを継いで数年は、収支はほぼ0か少しプラスぐらいだったと思います。当時は収入はおばあちゃんが管理していて、自分はお給料ではなくてバンドのツアーがあるときにお小遣いをもらうぐらいでしたね。

 バイトでバンド活動の経費を稼いで、普段の生活はおばあちゃんの年金に頼るような感じで。なのでもしお米の値段が元に戻ったら、またバイトを相当入れないと厳しくなっちゃいますね。

——それだけ生活が大変だと、米作りする人も減りますよね。

魅影 自分の田んぼがあるエリアは人口が減っていて、小学校も廃校になったりしてますね。田んぼに対して作る人も明らかに足りてなくて、草が生い茂ってしまった田んぼも見かけます。

 自分で4町歩も預かるようになったのも今年からで、近所の米農家の方に「もう作り続けられないから」とお願いされたんです。やめる農家さんが増えてきて、近所にある大規模な農家の親戚も「預かってあげたいけどそろそろ限界」と話してました。

 

——魅影さんも1人でやるには限界がありますよね。

魅影 田んぼがもったいないから自分でできるなら預かりたいんですけど、広げると設備が問題なんですよね。ビニールハウスも足りないし機械も大きなものが必要で、正直1人では今ぐらいが限界だと思ってます。

 今年はビニールハウス2つでは1回で苗を植えきれなくて、田植えの後にもう1回育てましたから。