「米不足? 安心して、V系バンドマンが作ってるから」
夜を背景にアンニュイな表情で佇むピンク髪の男性が、青空の田んぼでコンバインを操作している……? 意外すぎる取り合わせでバズったのが、ビジュアル系バンド「曇りのち、」のドラマー・魅影(みかげ)さんだ。
茨城にある4ヘクタールの田んぼで1人で米作りをしながら、バンド活動を行う世にも珍しい「農業×ビジュアル系バンドマン」という生活にどうやってたどり着いたのか。本人に話を聞いた。(全3回の1回目/続きを読む)
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——田んぼとV系、あまりにも意外な取り合わせで驚きました。いつもあんな風に農作業をしているんですか?
魅影 写真に写ってるのは僕が普段お米を作ってる田んぼで、コンバインもいつも乗ってるものですね。ただあの写真には1個だけ嘘があって、V系に日焼けは厳禁なのでいつもは完全日除けの帽子をかぶって顔も防塵マスクをしてるんです(笑)。それ以外は服も景色もいつも通りですね。
——ものすごいバズり方でしたが狙っていたんですか。
魅影 面白いかなとは思ったんですけど、想像以上に多くの人が反応してくれて、お米の注文も入ったりして驚きました。
「ここはお前の家だから跡を継いで」と「好きなことをすればいいから」
——魅影さんの実家が農家なんですか?
魅影 そうですね。父方が茨城で代々続く農家で、自分で19代目です。小さい頃からおばあちゃんには「ここはお前の家だから跡を継いで」と言われてたんですけど、お父さんは「好きなことをすればいいから」と言ってくれて、農業はやってもやらなくてもいい雰囲気で育ちました。
——それでビジュアル系バンドに。
魅影 中学校の頃までは坊主頭の野球部だったんですけど、中学3年生のときに友達がカラオケで歌っていた「the GazettE」のPVがかっこよくてすぐハマりました。とは言っても茨城の田舎なので、高校生までは雑誌やYouTubeを見るぐらいでしたけど。
——バンドを始めたのは高校生から?
魅影 高校で軽音部に入りました。楽器はそこまでこだわりがなかったんですけど、ドラムをやりたい人が誰もいなかったので「ここで自分が手を挙げたらバンド組めるじゃん!」って思って、「ドラムやります!」って立候補しました。


