日本を動かす官僚の街・霞が関から“マル秘”情報をお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。 

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治安対策で白羽の矢

 官房副長官人事でも大きなサプライズがあった。警察庁長官を今年1月に退官した露木康浩氏(昭和61年、警察庁)が、10月21日付で事務担当の官房副長官に就任した。前任の総務省出身の佐藤文俊氏(54年、旧自治省)とは年次がかなり離れているだけでなく、佐藤氏の前任の栗生俊一氏(56年、警察庁)、前々任の杉田和博氏(41年、同)はいずれも警察庁出身者だったことから、今回はそれ以外との見方があり、想定外が重なった。警察庁出身者の登用について、「高市首相の母が奈良県警の警察官だったこともあり親近感があるのでは。それだけでなく首相は以前から治安対策に熱心だった」(警察庁幹部)との指摘もある。

露木康浩氏 ©文藝春秋

 高市首相は、自民党治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会会長として、長官在任時の露木氏をたびたび会合に呼んで治安上のテーマについて警察当局の施策の説明を受けてきた。こうした接点から露木氏に信頼を寄せていた、というのが大方の見解だ。

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 警察庁内では、刑事局長だった谷滋行氏(平成5年)の首相秘書官登用も話題となった。前任の土屋暁胤氏(7年)とは入庁年次が逆転しているが、谷氏も刑事局長として治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会で何度となく高市首相に警察当局の対策を“ご進講”。事務処理能力が高いエリートである上に、謙虚で丁寧な説明で信頼を得たという。

警察庁の外観 ©Nobuyuki_Yoshikawa/イメージマート

 一方で、初代から警察庁出身者で独占してきた内閣危機管理監のポストは、防衛省に引き渡すことになった。防衛省出身の増田和夫氏(昭和63年、旧防衛庁)が就任。増田氏は、木原稔官房長官が岸田内閣で防衛相在任時の防衛事務次官を務めていた。かねてより意思の疎通を図ってきた木原氏の進言があり、高市首相が受け入れたとの見方がもっぱらだ。

この続きでは、内閣危機管理監のポストについて言及しています〉

※本記事の全文(約4500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年12月号に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。全文では下記の内容をお読みいただけます。

■今月の霞が関コンフィデンシャル
★新秘書官は強者揃い
高い内閣支持率でスタートした高市早苗首相を支える秘書官の布陣は強力だ。日本維新の会との連携を強く意識し、来年の通常国会をにらみ、政権を安定軌道に乗せようとしている…
奇貨居くべしの財務省
振り返れば、石破茂政権下では、官邸が政策や政局を主導する場面はめっきりと減った。官邸機能弱体化の一因が、スタッフの層の薄さだった。高市氏も石破氏と同様…
まさかの復活劇
外交・安全保障政策の司令塔たる「国家安全保障局」(NSS)トップだった岡野正敬前局長(昭和62年、外務省)の突然の退任も驚きをもって受け止められた。新局長に就いたのは…

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】〈総力特集〉高市早苗総理大臣の人間力/彬子女王と母信子妃 決裂の瞬間/素晴らしき哉、第二の人生!

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