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背番号124の「野球小僧」 阪神・横田慎太郎が脳腫瘍から復活する日

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/17
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見る者を惹きつける魅力がある横田のプレー

 横田慎太郎とは「野球小僧」という言葉が最もよく似合うプロ野球選手だと思う。寮生活では、日付が変わる前には就寝し、早朝5時に目を覚ますと、まずバットを握る。朝飯前の自室での素振りがルーティン。憧れる糸井嘉男、柳田悠岐の筋骨隆々な上半身の画像をスマートフォンに保存し、それを見ながらウエートトレーニングに励んだこともあった。「まだ、練習があるんで」「僕は練習するしかない」が口癖。純度100%の野球愛を貫く姿に、鳴尾浜球場に詰めかけるタイガースファンの多くが胸を打たれ、飛躍を願ってきた。

 プロ初安打は、16年3月26日の中日戦。開幕から2戦連続でスタメンに名を連ね、5回に遊撃への高いバウンドのゴロを放ち、自慢の快足で一塁を駆け抜けた。母・まなみさんら家族が観戦する前で泥臭い“らしさ”の詰まった記念の1本を放った姿に、背番号24の努力を知る誰もが、歓喜していた。

 1軍で試合に出始めた頃、他球団を応援する友人がこんなことを言っていた。「阪神のことは知らんけど、横田って走るのとか全部、全力よな。なんか頑張って欲しいと思うわ」。豪快な一発や、ラインドライブのかかったヒットでなくても、見る者を惹きつける魅力がある。横田のプレーに力をもらった人は1人や2人だけでない。だからこそ、これまで背番号24に勇気をもらっていた人たちは今、背番号124に向かって「頑張れ」「帰ってこい」と叫んでいる。

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 7月下旬、大粒の汗を滴らせながら言った。「自分に負けないようにします。そうじゃないと(背番号の)124も取れないんで!」。誰よりも、横田本人が背番号24のカムバックを信じて、戦っている。

横田が脳腫瘍を患っていたことを明かした際の紙面 ©スポーツニッポン

遠藤礼(スポーツニッポン)

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