「昔の不良仲間を集めて喧嘩に明け暮れた」安藤昇の若かりし頃の秘話

 梶間「その時は治外法権で、警察が『何やってもいい』って言ったんですか?」

 安藤「そうそう。でも、噓ばっかり言ってやがるんだ(笑)」

――あとから「使った拳銃出せ」なんてこともあったそうですね?(これは私)

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 安藤「そうそう(笑)」

 さらに私の、「安藤さんは、闇市で当時パンパンと呼ばれた日本人女性がGIと腕を組んで歩いていて、やり場のない気持ちになったとか?」との質問には、

 安藤「半分ヤケになったよ。まだ、19歳だったしな。昔の不良仲間を集めて喧嘩に明け暮れたのは、そのせいかもしれないね」

 安藤・梶間対談はおよそ1時間。進行役を仰せつかった私は、緊張はしたものの実に愉しく、至福のひと時を過ごしたのは言うまでもない。こういう役得のような仕事が、たまにあってもいいなあと、私は梶間俊一監督に深く感謝したものだった。

 20年前の初対面の時と同様、あの安藤昇が目の前にいて私と話をしているという現実がにわかには信じられず、女性事務員からサンドイッチをいただいても味がわからなかった。事務所内を歩く安藤氏の後ろ姿をジッと見つめながら、

〈ああ、この背中の感じ。映画で観たのと同じだ〉

 などとミーハー丸出しの感想を抱いたりしていた。

俳優としても活躍した安藤昇 ©文藝春秋

「安藤昇お別れの会」には意外な面々も…

 安藤氏が永遠の眠りに就いたのはそれから10年後、平成27年12月16日のことである。89歳だった。若い頃から常に死と隣り合わせ、絶えず抜き身の真剣の上を歩いていると形容されるような激しい生き方を貫いてきた人にとって、その長い人生は奇蹟と呼んでよかったろう。

 青山葬儀所で開催された「安藤昇お別れの会」には、私も友人の大学教授(大の安藤ファンだった)を誘って参加、驚いたことに会場には各界のお偉方の他、関東のトップクラスの親分衆の顔も多数見られた。

「どうか1世紀に近い激動の人生を称賛して笑顔で送ってくだされば幸いです」

「お別れの会」実行委員長の言葉が、すべてを物語っていた。

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「あの眼に睨まれたら、即座に謝るしかない」映画スターになった“伝説のヤクザ”安藤昇の意外な素顔とは――。以下のリンクから続きをお読みいただけます。

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