「トランプ大統領よ、我々の誰かに手を出せば、全員を敵に回すことになる」

 現地時間11月4日夜、当選を決めた次のニューヨーク市長、ゾーラン・マムダニ氏(34)がそう吠えた。

急進左派と目されるマムダニ氏

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 米民主党公認で出馬、得票率50%超、100万票以上を得て当選したのが「民主社会主義」を掲げるマムダニ氏だ。世界一のビジネス街で“トランプの天敵”新市長はなぜ誕生したのか。在NYのライター・堂本かおる氏が解説する。

支持率わずか1%の圏外から躍進

「NY市民の間には、トランプ時代に『心底うんざり』という閉塞感があった。物価高やフードスタンプ(食料品の配給券)の停止で、実際に飢える人も出てきていました」

 マムダニ氏の今年2月の支持率はわずか1%。圏外から躍進した。

「ボランティアが熱心に民家を訪問した。若さと朗らかな印象、SNSの動画作りの巧みさも支持が広がった要因でしょう」(同前)

 インド系でウガンダ生まれ、7歳でNYに移り住んだ“移民”だ。イスラム教を信仰。2014年に卒業した名門・ボードウィン大学生時代を知るロバート・モリソン教授が明かす。

「ゾーランは私の宗教の授業とイラン革命の授業を受講していました。活発に発言し、表情や身振りを伴う語り口にカリスマ性がある一方、人の意見に耳を傾ける柔軟性もありました。

 私のフィードバックも次の課題に反映されていた。パレスチナ解放運動に携わり、新聞に寄稿するなど学内でも知られた存在でした」