「今食べているのはランチだ」
独裁国家の元首が暗殺を恐れ、信用できるものでないと口に入れないという話はときおり耳にする。もっとも晩餐会の写真を見ると、プーチンは山内の隣でワイングラスの杯をあげている。
――ワインだけは飲んだのか。
「乾杯は形だけかもしれません。日本の殿さまだって毒見役がいるでしょ。それと似たようなものでしょう。晩餐会では何時間もかけて延々とわれわれの料理が運ばれてきました。けれど、プーチン大統領の料理はごく質素で、ヘルシーな感じ。彼は無駄な脂肪がついていない筋肉質な体型で、食事にはずい分気を使っているんじゃないかな。
その食事の最中、ふと彼の手元を見ると、時計の時刻が現地のそれと違う。で、『大統領、時計が狂っているんではないですか』と聞くと、彼は『私の時計はモスクワ時間にしているんだ。ロシア国内のどこにいてもモスクワ時間でアポを取っているから』と言うのです。ロシアは広いので西のモスクワと東のウラジオストクでは7時間の時差があります。つまり地球の3分の1ほど距離が離れているわけですが、スケジュール管理はすべてモスクワ時間にしているという。このとき現地は夜の8時でしたが、『だから今食べているのは、午後1時のランチなんだ』と笑っていました」
ランチだから軽食でいいという理屈らしいが、他国の国家元首を招いた晩餐会で、ホスト役が自分だけ別料理にするとは、失礼というほかない。ただし、安倍外交ではそれも慣れっこになっていたようだ。(敬称略)
※本記事の全文(約11000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(森功「安倍外交団で見た世界一悲惨な建設現場・ウラジオストク」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
・ドバイでの鮨パーティー
・UAEの皇太子に直談判
・安倍首相の尻を押して
