時々「近い存在」になる北條史也
でも北條選手は、時々、“素”をさらけ出して、「近い存在」になってくれます。象徴的だったのは今月4日のヤクルト戦でした。サヨナラの犠牲フライを放ち、ナインから手荒い祝福。全身ずぶ濡れのままヒーローインタビューを受けると、「最後の最後で、性格の悪い中谷さんが顔面に水をかけてきたので、むかつきました(笑)」と言って、“生の声”でファンをさらに歓喜させました。
先に書いたように僕は3年前に担当記者になったのですが、阪神タイガースにおいて、これ、すごく貴重なシーンです。
多くは「なんとかランナーを返そうと思ってました!」とか、「勝利に貢献できて良かったです!」と言います。もちろん、これらも紛れもない本音です。でも、北條選手の言葉や話し方には一切の飾りっ気がなくて、それこそ、「自宅でくつろぎながら家族に話している」ような雰囲気でした。
阪神ファンにはたまらないシーンだなあ、と思いながらメモをとった事を覚えています。何度も言いますが、プロ野球選手は我々一般人からすればめちゃくちゃ遠い存在です。そんな方々がふいに「人間らしい」一面を見せてくれると、ファンはさらに応援したくなりますよね。これが、僕が分析した北條選手の人気の理由。今後もその「ギャップ萌え」が発動するシーンを、密かに期待しちゃっています。
巻木周平(スポーツニッポン)
※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/8385でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。