「さっきの男、あきる野市って言わなかった? あそこの業者は仕事をしても、なんだかんだ理由を付けて給料を払わないことで有名だから、あんたも付いていかないほうがいいよ」

 上野公園で行われている炊き出しにも、似たような男がよく現れる。やはり、作業服を着ていて、炊き出しのスタッフに気付かれないよう、少し離れた場所でこっそり声をかけてくる。

「兄ちゃん、仕事探してない? うちは千葉に寮があって、今からでも車で連れていけるよ」

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 こちらの会社も道路工事と解体がメイン。給料は25万円で、「寮費もそんなに取らないから心配しないで」と言う。

写真はイメージ ©getty

 炊き出しには当然、金に困った人間が集まるので、「手配師」と呼ばれる肉体労働の現場に労働者を派遣する人たちが群がるのだ。

次の記事に続く 「贅沢なメシ」をエサに寮費をピンハネ…上野で横行する“貧困ビジネス”の恐るべき手口