竹内彩姫と小田幸平の小さな奇跡
ドラゴンズファンといえば、もう一人、ぜひ紹介しておきたいメンバーがいる。それは日高優月と同じく6期生で、チームKⅡに所属する竹内彩姫(さき)だ。竹内は、SKEに入る前、小学2年から中学1年まで中日ドラゴンズの公式パフォーマンスチーム「チアドラゴンズ」のキッズメンバーだった。
竹内彩姫とドラゴンズに関しては、いまでも思い出すことがある。それは彼女がSKEに加入してまもない2013年6月5日、日本武道館での「AKB48グループ研究生コンサート」に出演したときのこと。竹内は自己紹介で松村香織の歌う「燃えよドラゴンズ!」に合わせてチアダンスを披露したのだった。武道館に「燃えよドラゴンズ!」の歌声が響いたのは、あとにも先にもこのときだけではないか。
彼女はまたこのときの自己紹介で、ドラゴンズで好きな選手として小田幸平の名をあげていた。奇しくもこの日、ナゴヤドームでのオリックス戦では、小田は9回2死一・三塁の場面で、相手のエラーの隙を突き、一塁に執念のヘッドスライディングを決め、チームに勝利をもたらしている。私はそれを知ったとき、竹内の想いが小田に届いたのかと、ちょっと感動を覚えたのだった。
竹内は一昨年の選抜総選挙の開票速報で9位にランクインし、話題を呼んだ。このとき、すでに引退して評論家となっていた小田は彼女にエールを送り、投票もしている。最終的に31位にとどまったとはいえ、それまで総選挙では圏外だったことを思えば、大躍進といえる。
二人は翌年の正月に放送されたCBCラジオの番組で初めて対面し、対談を行なった。その放送後、小田はインスタグラムに「本当に何で俺のファンか、今でも不思議ですが笑い」と投稿したが、たしかに10代の女の子(1999年生まれの竹内は今年19歳)が20歳以上も年上の小田のファンというのはちょっと渋い気もする。ただ、ドラゴンズでムードメーカーとして存在感を示した彼に、竹内が親しみやすさを覚えたと考えれば、まったく不思議ではないだろう。
なお、竹内は、2015年に『週刊プレイボーイ』が企画した「プロ野球ガールズ」にドラゴンズファン代表として登場し、期待する若手選手に亀澤恭平の名をあげていた。独立リーグ出身で、この年、ホークスからドラゴンズに移籍して1軍デビューした亀澤を選ぶあたり、やっぱり渋い。それは、彼女自身が、SKE加入4年目にして総選挙にランクインを果たし、シングル表題曲の選抜入りも果たした“苦労人”だからなのかもしれない。
さて、SKEはかつてAKB本体を追い抜きそうなほどの勢いを見せたが、ここ数年、失速気味だった。それは少し前までは常勝チームだったのが、近年は成績が低迷しているドラゴンズと重なる。ただ、SKEはここ1年ほど、地域密着の徹底などもあり、徐々に息を吹き返しつつある。エースの松井珠理奈が6月のナゴヤドームでの選抜総選挙後、休業に入ったのは痛手だが、残ったメンバーは協力しながら、この夏、テレビやイベント出演をこなしてきた。ドラゴンズにも、ここは彼女たちの頑張りに応えて、もうひと踏ん張りを期待したい。
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