「類例のない大規模な買収事件の可能性がある」
小誌の報道当初から本件に関心を持ってきたというのが、冒頭の上脇氏。自民党の裏金告発などを手掛けた政治とカネの専門家だ。
そんな上脇氏が今回、本件について近く「刑事告発をする」と語ったのだ。
「公職選挙法違反罪で告発状を作成しています。捜査機関による実態解明が強く望まれる事案です」(同前)
上脇氏が続ける。
「公示日のポスター貼りに対しての『労務費』支出なら時折あります。ただ、貼ったポスターの“維持管理”という名目での支払いは見たことがない。文春の取材に『(候補者の)応援活動に報酬を払ってはいけないので、労務費として計上している』と漏らした市議もおり、ひょっとすると“維持管理費”の支払いは、ほとんどが選挙運動への対価だったかもしれないわけです」
“維持管理費”は100人以上が受け取った。「類例のない大規模な買収事件の可能性」(同前)があるのだ。
「こんな支払いが認められるのなら…」
上脇氏はこうも指摘する。
「区割りの変更で票の開拓が必要な地域もあったことで、金を配る動機につながった可能性もある。公示日のポスター貼りだけだと数千円しか払えない場合でも、“ポスター維持管理”を一緒に頼めばさらに数日分お金が支払えてしまう。表書き『労務費』という名のもとで、事実上の買収が出来るわけです」
実際、前回選挙から新しく林氏の選挙区に編入された長門市などでは、「名目を知らされず(重廣正美市議)」「初めて“維持管理費”を受け取った(田村大治郎市議)」などと、危うい証言が小誌や中国新聞の取材に続出している。
「こんな支払いが認められるのなら、『毎日ポスターを管理した』とさえ言えば、何万円も、何百人にだって金銭を払えてしまう。公選法を管轄する総務大臣自ら、選挙でのカネ配りがまるで違法でないように装う手法を提示しているようなもので、きわめて悪質です」(上脇氏)
林氏の選挙区は山口3区。告発は近隣で「特別刑事部」のある広島地検に行うことを検討中だという。受理されれば、ついに刑事捜査が始まることになる。
