秋の風を感じ、ようやく暑すぎた8月が終わりを告げようとしている。甲子園球場と楽天生命パーク宮城で熱い試合を目の当たりにし、野球を好きで良かったと改めて思えた平成最後の夏だった。

 この夏、100回記念大会を沸かせた高校球児の中に10月25日のプロ野球ドラフト会議で指名を受ける選手がいると思うだけでワクワクする。さて、今回は野球をやってきて改めて良かったなぁと思える瞬間について選手に聞かせてもらった。

野球をやってきて改めて良かったなぁと思える瞬間は?

もし生まれ変わって虫になるなら「ヘラクレス」の田中和基選手 ©河内一朗

 後半戦1番・センターで躍動している2年目の田中和基選手は「どんな試合でも、たとえ僕が打てなくても、ホームで勝った時にピューっとジェット風船が飛んで、その後マウンドにみんな集まる瞬間が気持ち良くて、野球やってきて良かったなぁと思います」と話してくれた。

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 8月19日の千葉ロッテ戦。田中選手自身は5打数4安打と見事な結果だったが、残念ながらチームは敗れた。その試合の後に話を聞くと「チームが負けてしまって、自分の中で、打ったという感覚が消えちゃったので、やっぱり勝つ事が1番だと思いました」と一言。

 先頭打者としてチームを牽引する24歳に9月はどのような働きを見せていきたいか聞くと、「全試合フルで出場すること」と即答してくれた。ここまで(8月29日現在)77試合に出場して打率.294、16本塁打、19盗塁という結果を残し、来シーズン、トリプルスリーを期待できる田中選手。相手ピッチャーの出鼻を挫く一打、隙を突く走塁、センターから矢のような好返球を9月も見せてもらいたい。

野球で生まれた深い絆を大切にする岡島

好きな麺類は味噌豚骨ラーメンの岡島豪郎選手会長 ©河内一朗

 どんな状況でもチームを明るく盛り立て、試合中も大きな声で選手を鼓舞する岡島豪郎選手会長。スタメン出場がない試合前でも、僕を見ると「イチロウさん!」と言って取材に応じてくれる。本当にありがたいし、そこに岡島選手の懐の深さが感じられた。

 そんな岡島選手会長に野球をやってきて良かった瞬間について聞くと、「小・中・高・大学と野球をやってきて、その仲間とそれぞれ年に1回会う機会があって、その仲間と会える瞬間ですね」と教えてくれた。野球で生まれた深い絆を大切にしているからこそ、岡島選手は先輩・後輩関係なく、みんなから愛されているのだと思う。

「絶対に何があっても、最後の最後まで諦めずに戦います」と力強く語ってくれた岡島選手。チームが苦しい状況だからこそ、明るく強い気持ちで試合に臨む岡島選手をシーズン最後まで追いかけたい。