三菱UFJ銀行の次期頭取を決めるレースに、異変が起きているという。ジャーナリストの森岡英樹氏がその内実に迫った。

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頭取レースに“逆転”が起きうる?

「対抗馬と見られていた大澤氏が、本命だった髙瀬氏を大まくりしたようだ」

 今秋、あるメガバンク幹部は、筆者にそう囁いた。半沢淳一頭取(1988年、旧三菱銀行入行)の跡を襲う三菱UFJ銀行の頭取人事である。かねて、代表取締役専務執行役員でグループCSO(最高戦略責任者)の髙瀬英明氏が頭取レースの本命と言われてきたが、ここにきて、同じく代表取締役専務執行役員でコーポレートバンキング部門長を務める大澤正和氏が俄かに追い上げを見せているという。髙瀬氏と大澤氏はともに1991年、三菱UFJ銀行の前身にあたる三菱銀行に入行した同期の間柄だ。

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三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取 ©時事通信社

 背景にあるのは、「昨年、三菱UFJで発生した貸金庫窃盗事件により、トップ人事が1年、先送りされたこと。その間に、グループ内の権力構造に地殻変動が起きた」(同前)のだという。

大澤正和氏 三菱UFJフィナンシャル・グループのHPより

「銀行の名前とブランドに傷をつけてしまいました。私は、本当にこの銀行に感謝していて、本当にいい会社だと思っています。この悪人……私のためだけに銀行を悪く思わないでください。本当に申し訳ございません」