自宅にあれば要注意。クマ出没を招くアイテムは…
人喰いをも学習する恐怖の生態。クマはいまや、山間部や中山間地域にかぎらず、住宅地や市街地など人口密集エリアにも出没する。
野生動物の調査や鳥獣被害対策を手掛ける「株式会社うぃるこ」専門員の梅村佳寛氏が指摘する。
「里山の荒廃や中山間地域の人口減少に反比例するように、クマの個体数は激増し、生息域は人の生活圏付近まで拡大しています。クマは自分のエサと認識したものに強い執着をみせます。人里周辺に生息するクマが増えれば、人の生活圏でエサ場を覚え、出没を繰り返す問題個体も増加する」
環境省の見積もりによれば、全国のツキノワグマの推定個体数は中央値で4万2000頭に達する。
「個体数を正確に把握するのは難しいが、個体数が増加するほど、人の生活圏に現れて被害を与える問題個体の出現率も高まり、人への脅威は加速度的に増していきます」(同前)
ただでさえ、人の生活圏にはクマにとって魅力的な食物が溢れている。国の対策会議資料によれば、クマの出没を招く「誘引物」の7割を占めているのが柿だ。
「クマの出没地域で、敷地内に柿や栗の木があるご家庭は、伐採を検討した方がよいでしょう」(同前)
果樹以外でも、生ゴミやコンポスト、ぬか漬けなどの発酵食品は、強い匂いでクマを引き寄せてしまう。
食料だけではない。ガソリンや混合油などの燃料、ペンキなどの塗料も誘引物となる。草刈り機などに使われるガソリンなどの揮発性物質はクマを引き付け、燃料の入った農業機具が破壊される被害もある。
住宅地や集落では、庭に置いていたペットフードがクマに食べられる事例もあるが、今年10月、宮城県大崎市では飼い犬そのものがクマに襲われ、連れ去られる悲劇が起きた。
昨年まで北海道の知床財団でヒグマの研究に携わっていた梅村氏が続ける。
「かつて知床半島の羅臼町でも、民家の庭に繋がれた犬を次々と襲うヒグマがいました。通称『RT』と呼ばれたオス成獣の問題個体で、すでに駆除されていますが、飼い犬を簡単に手に入る食糧だと学習してしまっていた。ツキノワグマでも、同様のケースが起きる可能性があります」
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