肛門にディルドを挿入させ、その姿をスマートフォンで撮影…
Aは赤ちゃんがオムツをはくときのように寝そべりながら両足をあげたポーズをさせられ、他の構成員によって肛門にディルドを挿入された。さらに兼子被告はその姿をスマートフォンで撮影している。
「その状態で家族の名前や、『気持ちいい』などと言わされた。悔しかったり、悲しかったり……ですが、そのときの気持ちは自分の言葉にできない」(Aの証言)
兼子被告による暴行はその後も続いたが、それについての「自分の手が痛いが……」という奇妙な証言をしている。
「自分の手が痛いが、痛い思いをしてまで殴っていた。それを見せることで納得すると思った。その後、従業員同士のお金の貸し借りや賭け麻雀に関わっていない従業員を帰宅させた。自分は残された従業員たちに、『何か言うことがあるだろう』と言い、別の幹部も殴り続けた。賭け麻雀を認めた後は、暴行はない」(兼子被告の証言)
度重なる暴行によってAは全治1カ月以上の大怪我を負ったが、シャワーで血を流したうえで自分で部屋の掃除をするよう指示をされ、さらに兼子被告に「自分のやったことを母親に話せ」と命じられ、電話で「会社のルールを破った。しばらくは帰れない」と伝えるしかなかった。
翌18日から25日までの8日間、Aは大久保のマンションの一室に監禁された。暴行による怪我が外部に発覚し、警察沙汰になることを防ぐためだった。
「監視役も2人いた。どちらか1人が起きて入り口に立っていた。(中略)逃げようとはしなかった。動画も撮られており、拡散されてしまうのではないかと思ったためだ。しかもエディとは古い付き合いで、実家の場所や家族のことを知られていた。逃げたら、他の家族が酷い目にあうかもしれないと思っていた。(一連の事件は)口に出すのも悍ましい」(Aの証言)
暴行などについては大筋で犯行事実を認めた兼子被告だが、監禁については詳細を知らないという驚きの証言を残している。
「私は監禁のことは関わりたくないから詳しくは知らない。すぐに家に帰さなかったのは、怪我をしているので、警察に行かないように。別の幹部が(怪我の)写真を投稿するグループチャットを開設した。怪我の治り具合、メンタル、警察に連絡するなどの怪しい行動をしないようにするためだった。Aさんの解放の時期の判断は、上司がした。Aさんはこのとき、『今後も(ナチュラルを)続けたい』と言っていた。将来のビジョンを持っていたので、信じていた。クビにしたら収入にも困るし……。ただ、今回の事件はやりすぎたと思う。話し合うべきだった」
警視庁はナチュラルを「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」と位置付け、2022年12月には「壊滅」を目指す捜査チームを設置している。しかし、2025年11月には、その捜査情報をナチュラル側に漏洩したとして警部補が逮捕される事件も発生するなど、組織の闇は、捜査機関の一部にまで及んでいた。
今回の事件が示す組織の闇はどこまでも深い。

