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遠い過去の未解決事件の謎
――ミステリ作品を沢山書かれている中で、この「赤い博物館」シリーズの特徴、力を入れているところはどういった所でしょうか。
大山 「未解決事件」を扱っているので、事件が起きてから、緋色冴子が遺留品や証拠品や捜査資料を見て不審な点に気付き再捜査するまで、何年、何十年と経っている。そうした長い時の流れを作品のアイデアに組み込んだり、事件の関係者たちの描写に反映させたりすることを常に念頭に置いています。
――今回シリーズ3作目ですが、何か新しく挑戦されたことはありますか?
大山 はい。たとえば表題作「死の絆」でしたら、被害者が2人出てきますが、それぞれ国会議員とホームレスです。これまでは平均的な社会的立場の被害者が多かったのですが、今回、被害者がホームレスということで、そうした枠を広げられたかなと思います。
それから、もう一つは、緋色冴子の警察大学校の学生時代を書いたので、彼女の過去に触れることができました。
――やっぱり、学生時代から冴子はかなり変わっていましたね! 周囲の男子学生もどうやって彼女と接して良いか、ちょっと困っていた様子でした……(笑)。
大山 はい。でも、冴子の変人ぶりについてはもっと書いておいたら良かったな、と思っているんですけれども(笑)。
(第2回に続く)
