現役世代は税と社会保険料の負担がきついため、「賃金は上がったけど、物価はもっと上がり、税金は増え、余裕がなくなった」という状況も想定されます。
日銀の金融政策も政府の経済対策も然り、必ず効く処方箋はありません。ある症状が改善すれば、その副作用として別の症状に悩まされることも大いに考えられるのです。
「逆手にとる」という発想
こうした状況にどう対処したらよいのでしょうか。
資産防衛的な視点では、この状況を「逆手にとる」という発想が重要になってきます。
インフレが家計の弱点であるならば、インフレに強い資産を持つことで、ある程度影響を相殺することができますし、場合によってはそれで利益を得ることも可能です。
インフレに強い資産の代表格は株式です。消費者の生活実感を悪化させているインフレは、企業側から見ると増収要因ですから、投資家の立場では「吉報」にさえなり得ます。
増収になってもコストが増えれば利益は変わらないのでは? と思う方も少なくないかもしれません。ただそこは簡単に考えていいと思います。売上が100、コストが50、利益が50という企業がインフレに直面して、売上が200、コストが100、利益が100といった具合に、利益率を維持したまま全てが2倍になれば、(他の条件が不変であれば)株価も2倍になるはずです。これこそが株式がインフレに強いと言われる所以です。
たとえば、食料品の価格上昇がきついなら、食料品に携わる企業の株式を保有することである程度影響を緩和できる、場合によっては利益を享受できるかもしれません。
同様に、ガソリン代や電気代の負担増を回避したいなら、原油などエネルギーの権益を有する企業の株式を保有することが選択肢となります。
不動産であれば、ライフプランの関係などですぐには買えないけど、将来は買いたいという人なら、不動産株、REIT、あるいは住宅建設に携わる企業の株式を保有することが選択肢となります。意中の物件が値上がりしてしまっても、保有証券が値上がりすれば、「買い遅れ」による損失をある程度相殺することができます。
このように物価上昇に対する恐怖は、投資を通じてある程度相殺することができます。



