4年前の選挙でも「疑惑の労務費」が…

 昨年の衆院選より前、2021年衆院選の林氏陣営の「選挙運動費用収支報告書」を入手。そこでも同じように大量の労務費支出があり、計199人に242万円の労務費を配っていた。

2021年衆院選の収支報告書

 領収書の形式は昨秋と共通し、「ポスター維持管理費」という“買収疑惑”の隠れ蓑になったのと同じ記載もある。4万5000円など高額のものも。

 つまり、昨年のみならず4年前にも疑惑の労務費があったのだ。公選法違反(買収・虚偽記入)は3年で時効とはいえ、同じ手口の常習性を疑わざるを得ない。

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 更に不可解すぎる事例もある。公示前日の10月18日付けで、〈河村建夫〉とサインがある1万円の労務費の領収書を添付、計上。労務内容は「ハガキ筆耕」。職業欄は「無職」だが、この河村氏は記載の住所などから元官房長官のことで間違いない。

河村元官房長官の名前が

「21年は林氏が参院から衆院に鞍替えし、河村氏の地盤だった山口3区から強引に出馬。公認を巡って自民党が割れかけ、河村氏が政界を退いた」(政治部記者)

 支出日の18日は、河村氏が引退会見を開いた日だが、なぜか林氏陣営の労務費として1万円を受け取ったことになっている。

当事者はどう答えるか

 河村氏に心当たりを尋ねると、「いや、これは自分の字じゃあない。事務所で誰かが代筆したのか……」。自身が労務を手伝った記憶は当然ないという。実態がなければ虚偽記入だ。

 4年前の選挙でのカネ配りの実態について、当時の林氏陣営の会計責任者を直撃すると、

「ポスターが剥がれたらいけないから期間中見回ってくださいと頼むお金で、大体1万円。公選法の細かいところは選管に聞いてほしいが、必要なお金だと思う」

 しかし、4万5000円など同氏の言う「1万円」の相場と離れた領収書の存在を提示すると、「あれっ、これはおかしいね」。

 林氏には、選挙を所管する総務大臣として説明すべきことが多すぎる。

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