つまり、一人で10回も20回も入信しているケースもあるということだ。1500円の報酬に釣られた生活困窮者たちが、新興宗教の信者の水増しに加担しているのである。
「エホバの証人」や「モルモン教」も
「前に『エホバの証人』の人に、伊豆にある施設に連れていってもらったことがあるよ」そう話していたのは、関内駅前の炊き出しで出会った伊豆出身の70代男性「伊豆おじさん」。
「パンとワインが出されたけど、お祈りするためのものだから口は付けちゃいけなかった」それでは何のために行ったかわからない気もするが。
また、伊豆おじさんいわく、「モルモン教の人に声をかけられたら、付いていくといい」。
「ある年のクリスマスの日、山手にあるモルモン教の人に付いていったんだ。みんなで2時間くらいゲームをした後に、ものすごく豪華なバイキングが出てきたよ。酒はないけど、もちろん食べ放題」
伊豆おじさんが言う「モルモン教」とは、正式名称が「末日聖徒イエス・キリスト教会」という団体らしい。キリスト教系の新興宗教である。通称「モルモン教」とされてきたが、教会側は2018年あたりから、この名称を使用しないよう求めているようだ。
さくら大根がのった「おこわ1パック」
今回並んだ上野公園の炊き出しの話に戻る。実は生活困窮者たちの間で、この炊き出しは不評だ。「火、木、金は行くけど、土曜はたいしたものがもらえないからあまり行かないんだよね」という声をよく耳にする。
渡された食事は、さくら大根がのったおこわ1パック。具は申し訳程度の、鶏の胸肉、ちくわ、きのこ、ごぼう。体の大きな男なら3口で食べ終わってしまうほどの量だ。それとバナナが3本。たしかに、「火、木、金」のメニューと比べるとかなり見劣りする。
「ここはもともと説教が短いよ。いつも15分くらい」行列の前に並んでいたおじさんがそう教えてくれたが、これで説教が長かったら30人も集まらないように思う。