一方、定数削減を早くやれという新聞もある。産経新聞社説だ。「衆院の定数削減 与野党は早期の実現図れ」というタイトルで、政治家が率先して「身を切る」意味は大きいと唱える(12月6日)。ちょっと驚いたのは次だ。

《国民の代表である国会議員の数を確保すべきだという意見もあるが、1割程度の削減であれば、国民の声を反映できないわけはあるまい。》

なぜ維新の「身を切る改革」に慎重で半信半疑なの!?

 他紙は選挙制度のあり方は民主主義の土俵であり、手続きを大事にしたほうがいいと言っているのだが、産経新聞は「1割程度の削減であれば」とかなり大雑把で力ずくな感じ。読売の「定数を削減して国民の代表を減らすことがなぜ、改革と言えるのか」と比べると味わい深い。ただ「そんなことより」産経は7日の一面で「サナ活 花盛り」と報じていた。高市首相の愛用品に注文が殺到していると。これも新聞読み比べの醍醐味である。

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 さらに言えば、新聞各紙を読んでいて気付くのは維新の「身を切る改革」はカギカッコ付きで書いていることだ。読売も毎日もそう。ついでに言えば朝日小学生新聞も。引用してみよう。

《議員が少なくなると、税金による給与などの負担がへり、「身を切る改革」と評価する声があります。一方、少数意見が反映しにくくなるなどと心配もされています。》(12月4日)

 みんな、なぜ維新の「身を切る改革」に慎重で半信半疑なの!?

 でも確かに与党となってから維新のお金事情が次々に出てきた。

 しんぶん赤旗日曜版は10月29日配信の電子版で、藤田氏による「税金還流」疑惑を報じた。藤田氏側が公設秘書の会社に税金を原資とする多額の資金を支出していたと指摘する内容だった。藤田氏は「すべて実態のある正当な取引」と反論したが、赤旗の報道後、藤田氏は今後は自身の公設第1秘書の会社に対する業務発注(ビラ作成など)を取りやめると説明した。さらに似たようなスキームは維新の他の議員もやっていたことも明らかになった。公金を還流する安定したスキームがあるからこそ「身を切る改革」と言えたのかもしれない。そんな構図も考えてしまう。

 最新の「身を切る」はこちらだ。