もったいない。流行語大賞のノミネート締め切りがもっと遅かったらと思う。高市首相で言うなら11月以降はさらに言葉が豊作だからだ。「存立危機事態」なんかそう。さらには「そんなことより」という発言も出た。党首討論で企業・団体献金の見直しを呼びかけられた際に「そんなことより」と衆院議員の定数削減に話題を変えたのだ。
最近になって首相は「話題を転換する際に申し上げた」と釈明した。しかしせっかく話をずらしたのに今度はその衆院議員の定数削減がでたらめと言われている。
議員を減らすのはむしろ逆効果だと指摘も
毎日新聞の社説「自維の定数削減法案 理屈も手順もでたらめだ」(12月5日)は冒頭から凄かった。「必要性や根拠を示せないまま、一方的に主張を押し付けようとする。でたらめ以外の何物でもない」。
そして、
《与党が「身を切る改革」をうたうのであれば、より痛みを伴う企業・団体献金の規制強化や、政党交付金の減額などに踏み込む方が理にかなっている。》
毎日新聞だけではない。読売新聞も社説で憤っていた。「衆院定数削減 憲政の常道に反する暴論だ」(12月6日)。こちらも冒頭から怒っている。「こんな乱暴な法案を、政権を担っている与党が提出するとは。見識を疑いたくなる」。
法案提出に踏み切ったのは維新の連立離脱を避ける狙いからだろうと社説は書く。タイトルにある「憲政の常道に反する」とは次のこと。
「多数の民意を反映しているとは言えない小政党が極端な主張を唱え、大政党を振り回し、民主主義の根幹にかかわるような重要課題の行方を左右する」
それで言うなら直近の国政選挙(参院選)で負け組だった維新が今まさにそうした状態にあるということか。読売と毎日の社説を併せると、憲政の常道に反するようなでたらめが現在国会でおこなわれている。これこそ存立危機事態ではないか。
両紙の社説には共通する点が少なくない。人口比でみると現在の衆院定数は他の主要国に比べて少ないことを指摘していた。議員を減らすのはむしろ逆効果だと。
