YouTubeチャンネル「昆虫ハウス101号室」を運営する蜂丸さん(38)は、自宅で数百匹の虫と暮らしている。壁一面にはずらりと飼育ケースが並び、世界最大とされるムカデやクモ、そして数百匹のゴキブリとひとつ屋根の下で暮らす日々は、一般的なペットとの生活とはまったく異なるものだ。

虫好きでペットとして飼っている蜂丸さん。家の壁面には飼育ケースがずらりと並ぶ ©細田忠/文藝春秋

虫好きでも、ゴキブリは普通に苦手

 蜂丸さんが飼育しているのは、ペットとしての虫が約80種類で100匹ほど。餌用の虫も含めると全部で数百匹にのぼる。毒虫を中心に収集しており「触ると危険とか、特殊な体液で臭くなるとか、殺虫剤のパッケージになるような嫌われがちな虫が好き」だという。

 しかし、虫好きといってもすべての虫が好きなわけではない。「ゴキブリだけは本当に無理です」と蜂丸さんは笑いながら話す。現在、ゴキブリ好きから譲り受けたという肉食性のゴキブリを含めて数百匹のゴキブリと共同生活を送っているものの「見た目も気持ち悪いですし、飛ぶのとかもやめてほしい」と本音を漏らす。

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 ゴキブリには「オブロンゴナタ」「インシグニス」といったかっこいい名前の種類も多いが、「それに対して『ゴキブリのくせに!』って腹立つくらい、嫌い」と語る姿は、虫が苦手な一般の人々と変わらない。今でも絶対に素手で触ることはできないという。

好きなのは毒虫、苦手なのはゴキブリ ©細田忠/文藝春秋

多くの虫と暮らす中で大変なことは……

 虫の飼育には独特の作法もある。亡くなった虫は、燃えるごみに出すという。土に埋めると寄生虫が発生したり、外来種として繁殖したりする恐れがあるためだ。最近では、肉食性のゴキブリに食べてもらうこともあるという。

 住環境も虫の飼育を前提に整えられている。「隣の部屋でバルサンが焚かれて、その煙が壁を抜けてきて虫が全滅した」という話を聞いたことから、部屋が隣接していない物件を選択。近隣の方が殺虫剤を使ったときに万が一にも部屋に入ってこないよう、年中雨戸を閉めているという徹底ぶりだ。

 ちなみに虫を飼っていて大変なことやトラブルはないのか。蜂丸さんに聞くと「虫を飼っていると土を使うことが多いので、部屋にコバエが発生しやすい」とのこと。その他については……。

「奇跡的に一度だけ女性が来てくれたことがあったんですよ。お酒も飲んで、いい雰囲気だったんですけど、女性がこの部屋の様子を見た瞬間、呆然としちゃって……。この部屋自体にウコンみたいな効力があったのか、あっという間に酔いが覚めたみたいで、すぐに帰られてしまいました」

 メンテナンスも大変そうだが、週1回でまとめて行うことで負担を軽減している。月の維持費も、餌用の虫を自分で繁殖させているため約3000円と、意外に安く抑えられているという。


 その他、蜂丸さんが飼っている虫の中で最も高価なものや、知られざる虫ビジネスの世界について聞いたインタビュー全文は、下記の記事からお読みいただけます。 

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