31歳・専業主婦の美禰子は、夫と二人きりの生活に限界を感じている。
――「子供が欲しいっていうより、私が生きてる意味が欲しい」 ――

空洞を抱えた既婚者たちが“居場所”を探す姿を描いた『灰汁女』(松本千秋/文藝春秋)が、12月16日に単行本として刊行される。文春オンラインでの連載時にも大きな反響を呼んだ本作から、一部を期間限定で再公開する。

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次に続く 「誰とも重なり合えない」結婚生活に息苦しさを覚えた人妻は、見知らぬ男たちの視線を集めに街へ出る