アルコール依存症の実父を描いた『酔うと化け物になる父がつらい』、毒親を持つ人たちに取材した『毒親サバイバル』など、自分自身の体験をベースに、さまざまな家庭の問題をマンガで発信してきた菊池真理子さん。
10月6日に新刊『「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~』を上梓し、大きな反響を呼んでいます。作品の背景についてお聞きしました。(全2回の1回目/続きを読む)
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──菊池さんはご自身の体験をはじめ、毒親や依存症をテーマにしたマンガを多数発表され、子どもたちの生きづらさを描かれていますね。
菊池真理子さん(以下、菊池) 生きづらさをテーマにしようと思っていたわけではなく、ただ自分のことをエッセイで描きたかったんです。でも、私の場合は、自分のことを描くとなると、アルコール依存症だった父のことや、宗教を信じていた母のことは避けられません。結果として自分自身の“痛み”を描くことになったということです。
──ご自身が「宗教2世」だということは、いつ頃意識されましたか?
菊池 物心つく前から入信させられていたので、私にとって宗教は日常でした。
家に大きな仏壇があることはごく自然な風景でしたし、朝晩の勤行(決まった時間に仏壇の前でお経を唱えること)も当たり前だと思っていました。むしろ、勤行しない父やその友人に対しては、「なぜ正しいことが分からないんだろう」とずっと思っていましたね。
内心では「不真面目な信徒」だった
──幼いながらに、熱心に信仰していたのでしょうか。
菊池 いいえ。勤行の時に唱える「お題目(「南無妙法蓮華経」の文句)」も母のように真面目にあげていませんでしたし、どちらかといえば自分でも「不真面目な信徒だな」と思っていました。
ただ、要領がよかったので、普段は何もしていないくせに、たとえば、「合唱隊」で一番目立つ係を務めるなど、本番になるとやけにうまくできるところはあったと思います。だからまわりからは「信仰心の篤いエライ子」と思われていたんじゃないでしょうか。実際は全然違うんですけどね。