日本を「反面教師」にしたが

「反面教師・日本」から学び続けた中国だが、成長モデルの転換期を見誤った点では日本と同じ失敗に陥ってしまった。日本も中国もキャッチアップ型経済、すなわち先進国の技術や制度を模倣し、国民の豊かさよりも製造力強化を優先し、輸出を伸ばすモデルで成功した。経済成長が軌道に乗ると、技術力に投資しハイテク国家に変貌した点も共通している。

 このキャッチアップ型経済はいつまでも続けることはできない。貿易黒字が増えすぎれば経済摩擦を生む。労働コストの上昇や高齢化は競争力の低迷につながる。日中両国は、適切なタイミングで転換することはできなかった。

 いや、状況は中国のほうがより深刻だろう。中国の少子化は日本以上のハイペースで進んでいる。出生数は2016年のピークからほぼ半減した。日本は出生数のピークから半減まで約40年を要したが、中国は10年足らずで半減しているのだ。そのため、2030年代半ば以降は生産年齢人口が崖崩れ的に減少していく。日本は年金など社会保障の整備を成し遂げた後にバブル崩壊を迎えたが、中国は社会保障の整備と経済対策との両面作戦に直面せざるを得ない。

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 中国はこの難局をテクノロジーで乗り越えようとしている。習近平時代に入ってから、社会課題はテクノロジーで解決できると考えるテック・オプティミズム(技術楽観主義)が目立つ。確かにEV(電気自動車)、AI(人工知能)、ロボット、バイオなどの進歩は目覚ましいが、人口14億人の社会課題を技術だけで解決するとの発想には危険な香りが漂う。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2026年の論点100』に掲載されています。

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