消費者の財布のひもが固くなり、需給のバランスが崩れて供給過剰となれば何が起きるのか。そう、デフレだ。23年第2四半期以降、物価の基調を表すGDPデフレーターはマイナスが続く。日本が長いデフレトレンドから脱したタイミングで、入れ替わるように中国がデフレに突入している。
国家公務員試験の受験申込者数は史上初めて300万人を記録
デフレ下では企業は投資と雇用の拡大に慎重になる。採用がしぼられた結果、若年失業率は前年からさらに悪化。大学を卒業しても望ましい職が見つからず、フードデリバリーなどで食いつなぎながら職探しを続ける人も多い。あるいは民間での就職をあきらめ、公務員試験に望みをかけるトレンドも生まれた。国家公務員試験の受験申込者数は24年の採用試験で史上初めて300万人の大台を記録した。この2年前に初の200万人突破が話題になったばかりだというのに、2年間で100万人も増えている。
過去20年間は中国経済の黄金時代であった。世界貿易機関(WTO)加盟を追い風に「世界の工場」として飛躍した2000年代。ティックトックに代表されるモバイル・インターネットが発展し中国企業が世界の消費者にスマートフォンや家電を販売するようになり、国民生活も豊かになった2010年代を経て、突如として負のスパイラルに落ち込んだ。
中国は強いレジリエンスを持つと見られてきた。一党独裁政権は世論を気にせず、有効な経済対策を実施できる。そして、「反面教師・日本」という参考書まである。実際、中国は日本の失敗をよく研究してきた。円高で日本の製造業が競争力を失った教訓から人民元レートの上昇は抑止。バブル崩壊後、国民の反発が強く日本政府は金融機関への公的資金投入が遅れた。中国ではまだ金融機関の破綻はないが、早くも大手国有銀行に5000億元(約10兆円)の資金注入を行っている。



