王は言う。「もっと早く来るべきでした」

 挨拶を求められると、まずはトレードマークの深い低音ボイスで「ジェイ、マヒシュマティ(マヒシュマティ王国万歳)」。アマレンドラ・バーフバリの最期のことばでもある名セリフを生で聞いた観客はヒートアップ。更に司会に促されると今度は日本語で「コンニチハ。ニッポン、ダイスキデス」。会場からは「わたしもー!!」「大好き―っ」のかけ声がかかる。

撮影:志水隆

 ファンが興奮する様子をはにかむような笑顔を浮かべて見守る姿からは『バーフバリ』シリーズの高潔で勇敢な勇士や『サラール』(23年)で演じた圧倒的な強さと狂暴性を秘めた男が想像できないほど柔和だ。インドのファンに「ダーリン」という、アクションスターにしては甘い愛称で呼ばれている理由がよくわかる。

 驚かされたのは来日の感想を聞かれての回答だ。「遅くなりすぎたと思っています。もっと早く来るべきでした。……一方で『バーフバリ』公開10周年の節目に来られたのは運命だとも感じています。アイムソーリー」。一拍おいて小さく「……ラブユー」。こんな謙虚なスターが今までいただろうか。

ADVERTISEMENT

撮影:志水隆

 イベントではラージャマウリ監督からのメッセージが披露された。プラバースは「監督はわたしのグル(師)であり、すべてです。日本を恋しがって、本当は同行したがっていました。次は監督とラーナーとスッバラージュ、みんな一緒に来日します」と述べ、ファンを喜ばせた。

ラージャマウリ監督のメッセージ色紙を掲げるヤーララガッダ氏(撮影:志水隆)

 また『バーフバリ』の世界を広げる試みとして新作アニメーション映画『Baahubali:The Eternal War』(2027年公開予定)の紹介動画が上映された。ヤーララガッダによるとアマレンドラが死後ヒンドゥー教の宇宙像の中で戦い、世界の調和を取り戻すストーリーでインドで最大のアニメーション企画とのこと。プラバースはアマレンドラの声で参加する。

 2回目のイベントは18時開始の丸の内ピカデリー。プラバ―スの第一声は「ミナサン、コンバンハ」。舞台裏で日本語を繰り返し練習していたという。マスコミの取材が入った登壇の様子はネットで観られるのでご覧いただきたい。