不動産マーケットの好調は「そろそろ終焉」
晴海フラッグ自体は、分譲4145戸、賃貸1487戸の巨大マンション群だが、ひとつのエリアでこれだけの売り希望、貸し希望住戸が積み上がるとなかなか成約しない。在庫が膨らんでくると、我慢できなくなった住戸から投げ売り、家賃引き下げが生じてくる。これは不動産マーケットに少しでもかかわった人であれば、みんなが感じる感覚ともいえる。
社長曰く、
「ずいぶん長いこと不動産マーケットは好調でずいぶんいい思いもしたけどさ、そろそろ終焉だねえ。価格調整が見通せるまで、しばらく開店休業だね。しばらく遊びにでもいってようかな」
いままで幾多のマーケット下落を乗り越えてきた社長は相変わらず意気軒高だったが、最前線でのこうした変化。他の業者からも複数、耳にしていただけに、この話のリアル感は衝撃的であった。
「逃げろ!」と叫んだ時はもはや手遅れ
それでも湾岸エリアだけの事象かとも思って、今年春に引き渡しが行われた港区三田の三田ガーデンヒルズの中古マーケット状況を調べてみた。引き渡し直後の売却希望住戸のデータと現在ネット上などで募集されている売却希望価格を住戸面積25坪(83㎡)前後の物件で比較してみると、4月の時点での希望価格がおおむね坪当たり2400万円から2600万円であったものが、1700万円から2000万円と、25%から30%も下落していることが分かった。
分譲価格が坪1300万円から1400万円台であったから、いまだに含み益は期待できるものの、わずか半年強で売り手側の希望価格が晴海フラッグなどとは異なりだいぶ下がっていることが確認できた。
マーケットとは面白いもので、参加者の多くが「上がる、まだ上がる」と思っているうちは、理論的に説明がつかないような上がり方をしていく。だが最前線現場でのこうしたちょっとした変化は、その後の大変化への兆候といえるのだ。初めはほんの小さな、誰も気づかないような穴であっても、やがてその穴は大きくなり、一部の人が気が付きだす。そして誰しもが「でっかい穴が開いてる。逃げろ!」と叫んだ時はもはや手遅れになる。タイタニック号の沈没と同じだ。