不動産を取り巻く環境は目まぐるしく変化し始めている。日銀による政策金利の引き上げは来年も数回にわたって実施されていくことが予測されている。金利の上昇は、不動産購入をローンで調達する限りにおいて買い手にとってハードルが高くなる。不動産投資をする投資家にとっては調達金利が上がるからには、投資によって期待する期待利回りの水準を上げていかなくてはならなくなる。

 ではマンションやアパートを借りてくれる賃借人の家賃負担力はインフレとともにどんどん上がっていくのかといえば、実質賃金は下がり続け、賃料上昇を受忍できるような状況にはない。投資価格を下げて、利回り目線を上げていかなくては投資は辛い結果となる。

2026年、ピークアウトから新たなステージへ

 さらに心配なのは、国や自治体が不動産価格について「口出し」を始めたことだ。古今東西、国や権力者が不動産価格をコントロールしようとして様々な規制を施してきているが、成功した例はほとんどない。むしろ平成バブル時の不動産融資総量規制によって大量の不良債権を作り出し、失われた30年の一因になったように、下手な規制がマーケット全体を冷やす危険性も出てきている。

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 外国人の不動産購入や所有に関する規制ばかりに注目が集まるが、相続対策によるマンション購入に対する規制や転売規制、固定資産税の引上げなど、国や自治体で様々な議論が始まっている。

写真はイメージ ©Nobuyuki_Yoshikawa/イメージマート

 どんな宴にも「手締め」がある。いつまでも宴の席に居座り続けるとろくなことはない。さっさと店仕舞いをし、来るべき事業機会が来るのを、きっと件の社長はじっくりと待っているのだろう。2026年、不動産マーケットはピークアウトから新たなステージに突入することになりそうだ。