もともとは別コンビ→“お試し”で組んで意気投合
兵庫県出身の山下は、NSC大阪校35期生。広島県出身のべーやんは翌年2013年に同校の門を叩いている。
ふたりは、経歴も年齢もだいぶ違う。山下は大学進学後から「芸人になろう」と考えていたが、1年働いて貯金してから親に伝えようと証券会社に就職。個人宅の飛び込み営業を経験し、人見知りが緩和されたという。その後、当初予定していた通り、翌年にNSCに入学している。
べーやんは小学生時代から「芸人になりたい」と考えていた。もともと『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)が好きで、親の影響でダウンタウンの番組を見始めてからいろんなバラエティーをチェックするようになった。高校3年になっても思いは変わらず、卒業後にNSCに入学している。
入学時期が違うこともあり、最初は別の相方と活動していた。山下は、マストビーキング、ダークニンゲンとふたつのコンビを渡り歩いた。ダークニンゲンは、吉本興業の劇場「5upよしもと」(現・よしもと漫才劇場)の準レギュラーメンバー30組に選出されたエリートだ。芸歴2年目の山下は、ゆりやんレトリィバァ、ラニーノーズらがいる同期のトップを走っていた。
一方のべーやんは、NSC入学前に20歳以下限定のお笑いコンテスト『ワラチャン!U-20お笑い日本一決定戦』の予選会場で知り合った同期とセントビンセントを結成。2014年、芸歴1年目で『わろてぃぃぃん!』(関西テレビ)内の「Vine-1グランプリ」(動画アプリ「Vine」を使った6秒動画の面白さを競う企画)で優勝している。
しかし、セントビンセントは劇場での結果が振るわず、小規模の地下ライブを中心に活動。5年でコンビを解消している。逆にダークニンゲンは劇場での評価は高かったが、徐々にお互いの不満が募っていき2018年に解散した。
各々がピンで活動しつつユニットライブにも参加する中、黄金の桜・田村浩己が山下に相方候補として「べーやん、ええやん」と提案。これをきっかけにお試しコンビを組み、程なくべーやんが「組みたい」と山下に伝えて正式なコンビ結成(2019年5月)に至っている。ふたりの歳の差は6歳。当時30歳の山下は、「これあかんかったらもういいや」と芸人引退も考えていた。
当初は漫才コントを披露していたが、思うような結果が出なかった。ある日、お互いにネタを思いつかないままライブ当日を迎え、直前にテーマと大まかな流れだけを決めて本番に臨んだところ予想以上に受けた。
その後、ひとりで台本を書くのではなく、アドリブの掛け合いを録音してネタを作るようになり、“飄々とした広島弁のべーやんに小言を畳みかける山下”という今のスタイルが固まっていった。
