教師に惹かれながらもその恋に深入りしないように自制する青年の葛藤、その機微をラウールさんは上手に演じていました。けれど、それ以上に筆者が驚いたのは彼の演じるホスト役の生々しさ。ちょっとした所作や表情が練られていて、非常にリアルに感じられたのです。しかもそれは、店で女性客の前にいるときに見せるナルシスト的な振る舞いだけでなく、仲のいいホスト同士が裏で見せる掛け合いといった“ホストの素”を描いたシーンでも、かなりのリアリティがありました。
こうしてホストとしての振る舞いが生々しいほどリアルだったからこそ、ひとりの青年として恋愛に悩む繊細な演技とのギャップが生まれ、さらにキャラクターの個性が引き立つ好循環となっていました。
教師とホストの恋愛ものということで、色眼鏡で見られがちでしたが、放送開始後に話題を集めていき、今では“質の高い純愛もの”と評価しているドラマファンは多いことでしょう。ラウールさんは『愛の、がっこう。』で、自身の役者としての価値を存分に示していました。
挫折と苦悩を繰り返す姿も
『愛の、がっこう。』最終話放送から少し前の9月13日、Amazon Prime Videoでドキュメンタリー作品『ラウール On The Runway』が公開されました。
世界の一握りのトップモデルしかランウェイを歩くことができないパリコレクション、ミラノコレクションへの挑戦を、2024年1月から今年8月までの約600日間に密着した作品です。
日本の大手芸能事務所のトップアイドルと言えど、パリやミラノでモデルをするうえでアドバンテージには一切ならないとのこと。
ラウールさんは日本での肩書きやキャリアは関係ないゼロの状態からチャレンジし、2024年にはパリコレクションへ出演、今年はミラノコレクションとパリコレクションへ出演を果たしたのです。
結果だけ聞くとよくあるサクセスストーリーですが、約1時間半の作品において、2024年を追った前半は、挫折と苦悩を繰り返すラウールさんの姿が如実に映し出されていました。

