「この映画で最も優れているのは…」

「キャスティング・ディレクターから声がかかったとき、私はキューバのジャングルに住んでいたの。こんな話が来るとは、想像もしていなかったわ。キャスティング・ディレクターの前でシーンを演じているうちに、私はヴァランに奇妙なコネクションを感じるようになった。次に呼び出しがかかると、そこにはキャメロン監督がいて、彼と一緒にいろいろ試しながら演じてみたの。会う前はものすごく緊張したけれど、彼はとても優しくて、好奇心旺盛な人だったわ」(チャップリン)

© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 この映画で初挑戦したパフォーマンス・キャプチャーについて、チャップリンは「大きな自由を感じられる、最高の体験だった」と振り返る。3作目のロサンゼルスプレミアの舞台挨拶でキャメロンも「人はテクノロジーについて聞いてくるが、この映画で最も優れているのは役者による演技。(CGで絵ができた後に)役者がちょこっと来て声を吹き込むのだろうと誤解している人もいるようだが、違う。役者たちは、18カ月もかけ、スクリーンに出てくるすべてのことをやったんだよ」と語ったように、スクリーンに出てくる激しいアクション、悲しみにくれる表情、それらはすべて役者によるもの。だが、後にCGが施されるおかげで、グレイスとして死んだウィーバーが2作目からティーンのキリとして登場することが可能になるなど、実はこのテクノロジーは役者の演技の可能性を広げるものだと言えるだろう。

パフォーマンス・キャプチャー中に指示を出す ジェームズ・キャメロン監督(右) © 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「この映画で私たちがしたことは、正真正銘の“演技”。相手の細かなニュアンス、ディテールも全部感じ取ることができ、共演者と非常に密な関係を築けるので、古典劇に出ていたころを思い出した。このテクノロジーのおかげで、私はあの年齢のキャラクターを再び演じられたのよ。まさに大きな冒険ね。こんなことに挑戦できるテクノロジーが出てきたなんて、私は正しい時代に生きたのだなと本当に感謝する」(ウィーバー)

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 キリは若々しさたっぷりで、76歳の女優が演じているとはとても信じられない。役者たちの情熱、才能、テクノロジー、そしてそれらを見事に融合させたキャメロンに、拍手を送りたい。

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ジェームズ・キャメロン 1954年、カナダ・オンタリオ州⽣まれ。『殺⼈⿂フライングキラー』(81年)で⻑編監督デビュー。2作⽬の『ターミネーター』(84年)以降、『エイリアン2』(86年)『アビス』(89年)『ターミネーター2』(91年)『トゥルーライズ』(94年)『タイタニック』(97年)などの話題作を生み出す。ほかにも『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』(03年)などドキュメンタリーも手掛け、『アリータ:バトル・エンジェル』(19年)では脚本・製作を務めた。

INTRODUCTION

惑星パンドラで人間の身体を捨ててナヴィになり、愛する家族とともにこの星のために戦い続けるジェイク・サリーを中心とした物語──。映画界に革命を起こした、『アバター』(09年)から始まったジェームズ・キャメロン監督による待望のシリーズ最新作。よりスケールアップしたスペクタクル映像が期待される3作目の物語は前作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(22年)の数週間後からスタートする。

 

STORY

長男ネテヤムを失ってから数週間後。クオリッチ大佐(スティーヴン・ラング)の息子スパイダー(ジャック・チャンピオン)がいる限り人間は襲ってくると考えたジェイク(サム・ワーシントン)たちサリー一家はメトカイナの地を出て、空を⾏き交う平和な遊牧⺠・トラリム族と出会う。そしてスパイダーをオマティカヤ族の拠点・ハイキャンプへ送り届ける旅に出る。だがその道中で故郷を火山の噴火で焼かれた“灰の一族”アッシュ族の襲撃を受ける。一方、RDA社はさらなる惑星パンドラ攻略を企てており、クオリッチはジェイクへの復讐に燃えていた……。
 

STAFF & CAST

監督・製作・脚本:ジェームズ・キャメロン/出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー/2025年/アメリカ/197分/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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