「週刊文春」では女性の、女性による、女性のための医療連載が2025年12月25日発売号からスタート! 第1回は、中高年女性の半数近くが患う尿もれ(尿失禁)を特集。誰もがなり得るからといって、諦めないで。簡単なエクササイズや生活改善でQOLを上げよう!(現在配信中の「週刊文春 電子版」記事より冒頭部分を抜粋してお届けします)
「病気には男女差がある」。長年見過ごされてきたこの視点が昨今見直され、男性中心だった医療界も変わりつつある。女性の体を熟知した女性専門医が、不調に悩む読者に向けて、疾患の特徴と対策をリレー形式で解説する新連載。ようこそ、「文春女性外来」へ。
◇
尿もれはなぜ女性に多い?
第1回は、名鉄病院女性泌尿器科の加藤久美子医師だ。約40年にわたって女性の尿もれ治療に携わり、日本初の女性尿失禁外来を立ち上げた“尿もれ治療のパイオニア”である。
「くしゃみをしたり、走ったりすると尿が漏れる」
「急に我慢のできない尿意に襲われる」
こんな悩みをひそかに抱える女性読者は少なくないだろう。
「尿もれ(尿失禁)は、中高年女性の半数近くが患う身近な疾患です。とはいえ、『老化の問題だから仕方ない』と諦める必要はありません。セルフケアや治療により十分な改善が見込めることもあるので、恥ずかしがらずに泌尿器科で相談してください」
尿もれはなぜ女性に多いのか。
「そもそも女性の尿道は3〜4cmと男性(約20cm)より短く構造的に弱いうえ、出産や加齢でより漏れやすくなる。週に1回以上尿失禁が起きる40歳以上の女性の有病者は44%と、男性の倍以上です」
2種類の尿もれ
女性の尿もれは2種類に大別される。お腹に力が入ると漏れる『腹圧性尿失禁』と、急な尿意に襲われる『切迫性尿失禁』だ。
「腹圧性尿失禁の患者は40〜60代が中心で、女性患者数は461万人と推計されます。60代以上は切迫性尿失禁が増え、患者数の推計は377万人です」
かくいう加藤医師も尿もれに悩んだ過去を持つ。
