2つ目は、台湾有事を阻む“抑止力”の向上に結果的に寄与したことです。従来の曖昧戦略は、中国に楽観的なシナリオを描かせていた。だが今回の発言によって、中国は「有事の際、米軍だけでなく自衛隊とも軍事衝突する可能性が高い」との認識を強めたでしょう。これは中国が最終的な決断に踏み切る際の大きな懸念となるはずです。

不用意な答弁は結果的に…転換点になりうる

 そして3つ目が、憲法改正の議論に繋がる点。今回、日本近海における中国軍の脅威が明確になりました。航空母艦が沖縄本島付近で軍事演習を行い、自衛隊機がレーダー照射に遭った。国際社会のルールに背く強い軍事的牽制行為です。

 現状、自衛隊法だけでは対処できない。迫り来る危機は、憲法改正に向けた議論の機運を高めます。そこで高市首相は憲法九条二項(戦力不保持、交戦権否認)の改正に取り組み、自衛隊を軍隊として正式に位置付ける姿勢を見せるべきです。

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 つまり、高市首相の不用意な答弁は結果的に、強い外交、国防に向けて「再出発」する転換点になりうる。高市首相は安倍晋三元首相の継承者を自任していますが、この「再出発」を成功させれば、各国首脳と渡り合った安倍外交を超える可能性を秘めています。

 そのために留意すべきことは何か。

《この続きでは中西氏が説く外交戦略、安倍政権の踏襲への危惧などを配信しています。記事の全文は「週刊文春 電子版」および「週刊文春 2026年1月1日・8日号」で読むことができます》

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