佐藤 ロシア人は、「ドイツ人相手なら戦術核を使っても構わない」と思っているはずです。2024年8月のモスクワ訪問の際も、AfDが伸長するドイツの現状にクレムリンの人々は不安を覚えていました。

佐藤優氏 ©文藝春秋

新たに生まれた「西洋の非合理性」とは?

 トッド ロシア人はこれまで、ドイツ人にかなり忍耐強く接してきました。

 しかしメルツ新首相が「ウクライナにタウルス・ミサイル(長距離巡航ミサイル)を供与するつもりだ」と言い出した時、「ドイツ人はかつて2500万人のソ連市民を殺害した」という事実をロシア外務省が指摘し始めたのを目にして、私はこう感じました。ロシアにとっての「限界(越えてはならない1線)」が、すぐそこまで近づいている、と。

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トッド氏の著作『西洋の敗北と日本の真実』

 佐藤 ドイツの対露恐怖症は、どう見ても合理的ではない。ドイツの非合理主義の背景を知るために、いま同志社大学のゼミ生と、ルカーチの『理性の崩壊』を読んでいます。

 トッド 私たちが目にしているのは、新たに生まれた「西洋の非合理性」です。

 トランプやメルツだけでなく、マクロン仏大統領やスターマー英首相の頭の中も支離滅裂です。そして奇妙なことに、プーチンや習近平といった人物の方が、彼らなりの論理に基づいて予測可能で一貫した言動をとっている。

 最も権威主義的なシステムの方が、リベラルなシステムよりも、「合理的」であるのを目の当たりにして、いま私は恐怖を感じています。

※本記事の全文(約9000字)は、「文藝春秋」1月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(エマニュエル・トッド×佐藤優「米国の敗北を直視して核武装せよ」)。 全文では、以下の内容についても語られています。
・日本が米国に抱えるトラウマ
・敗北を糊塗して撤退する米国
・米国が同盟国に強硬な理由

※「文藝春秋PLUS」では、トッド氏と佐藤優氏の対談動画も公開中です。
【日本もドイツもかつての「被占領国」に戻る】初めて「敗北の大統領」となるトランプ

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出典元

文藝春秋

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