AIM医学研究所の宮崎徹所長

 AIM医学研究所の宮崎徹所長らの研究グループは7日、動物の血中に高濃度で存在するタンパク質「AIM」が、進行した慢性腎臓病のネコの予後を劇的に改善するとの研究結果をまとめ、英獣医学専門誌「ベテリナリージャーナル」で発表した。AIMは体内にたまった老廃物などの「ゴミ掃除」機能を促進するが、ネコ科動物は血中のAIMが活性化しない遺伝特性を持っている。宮崎所長らはAIMを活性化した形で末期の慢性腎臓病のネコに投与したところ、1年後の生存率がAIMを投与されていないネコに比べ劇的に改善した。

 宮崎所長らは、AIMが動物の体内にあるゴミを見つけると活性化し、ゴミを体外に排除するように促すことで、健康を守る役割を果たしていることを既に解明している。慢性腎臓病は、人間とネコに共通した病気だが、いずれも腎臓の内部にたまったゴミが炎症を引き起こし、腎臓の組織を徐々に破壊、最終的には尿毒症を引き起こす。ネコ科動物はAIMが活性化しないためゴミ掃除ができず、高齢のネコは高い確率で慢性腎臓病になることが知られている。

 宮崎所長らは、慢性腎臓病末期のステージ(人間なら人工透析が必要になる直前の段階)だったネコ11匹のうち6匹にマウスのAIM、5匹にネコのAIMを活性化状態で2週間ごとに2ミリグラムずつ、最大12回投与した。その結果、最初の投与から1年後に9匹が生存し、生存率が約82%に達しただけでなく、いずれも尿毒症を発症しなかった。一方、同じステージでAIMの投与対象にならなかった15匹は、同じ1年間に尿毒症で12匹が死に、生存率は20%だった。

ADVERTISEMENT

 また、この論文では、これまで判断が難しかった末期に近い慢性腎臓病の進行度を、代表的な尿毒素のひとつであるインドキシル硫酸(IS)の血中の値で判断できる可能性を明らかにした。なお、AIMを投与されたネコは、いずれもISの血中濃度が有意に低下しており、AIMに尿毒症の発症防止効果があることを強く示唆している。

 宮崎所長らはネコの尿毒症を防ぐAIM製剤の開発を進めており、臨床試験(治験)ではより多くのネコに投与してAIMの効能を確認する考えだ。人間の慢性腎臓病もネコと同じ機序で進行すると考えられるため、宮崎所長は「AIMがネコだけでなく、人間の慢性腎臓病の治療にも役立つことを明らかにしたい」としている。

次のページ 写真ページはこちら