昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

楠公飯、私はけっこう美味しいと思いました

――当時の暮らしを演じながら体験されて、何が一番大変ですか。

松本 水汲みです(笑)。棒の両端にバケツをぶら下げて、それを背中越しに天秤みたいにして運ぶんですけど、こんなに大変なんだって。実際に水が入っているんですよ。だから演出でなくフラフラしてしまうんです。大変すぎて、オンエアを自分で観ていても、自分でやったような気がしないほどで。

 

――台所仕事も多いですよね。ちゃぶ台に並ぶご飯がふっくら大盛りで。

松本 楠公飯(なんこうめし)ですね。お米を節約するために考え出された戦時中レシピ。

――あれは収録現場でも実際に食べているんですか?

松本 食べてますよ。家でも2回くらい作って食べました。

――自分で作ったんですか!

松本 玄米を炒って、玄米に対して3倍の水を入れて、半日くらい置いてから炊く。すると玄米が倍ぐらいに膨らむんです。食感がボソボソしていて、冷めちゃうとポロポロこぼれちゃうんですけど、私はけっこう美味しいと思いました(笑)。

台所に立つすず ©TBS

時代考証の先生に「もったいない!」って言われる

――おかずは今と違うなって実感しませんか?

松本 特別な日のシーンで、缶詰に入ったお肉が出てくることがあったんですが、本当に「特別感」がありました。普段は大根の煮物とか、たまにお魚。でも6人家族なので2匹のお魚を分けるとなると、私は頭だけとか(笑)。時代考証の先生が現場に付いてくださっているので、味付けも当時を再現しています。「もったいないから、こんなにお醤油使わないよ!」とか指導が入ることもあるんです。

――「贅沢は敵だ」「欲しがりません勝つまでは」が長く続いた、その終盤の時代ですから節約生活はいろんなところに見え隠れしますよね。

松本 石鹸を使って洗濯板でゴシゴシ手洗いしていると、時代考証の先生から「もったいないから、そんなに使わないよ!」って。配給もどんどん乏しくなっていくから、さっきの楠公飯のように「代用品」が生活に入り込んでくるんですよね。木炭の代わりに作る代用炭団とか。こういう工夫をしていたんだって、作りながら思いました。