スマホ越しの一瞬の好奇心が、取り返しのつかない結末を招いた。2014年、米ニュージャージー州の自然保護区で、大学生がクロクマを撮影した直後に悲劇が起きた。

写真はイメージ ©getty

 突如、凶暴化した熊に追いかけられた青年はどうなったのか。宝島社ムック『アーバン熊の脅威』のダイジェスト版をお届けする。

「振り返るな!かまわず逃げろ!」

 北アメリカの森林地帯に多く生息するアメリカクロクマ。「くまのプーさん」や「テディベア」のモデルとして親しまれているこの熊も、人喰い熊として恐れられた過去がある。

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 2014年、アメリカのラトガース大学に通っていた大学生ダーシュ・パテルさんは、4人の友人たちとともにニュージャージー州にある「アプシャワ保護区」を訪れていた。ハイキングを楽しんでいた彼らは、約30メートル先にいるクロクマを発見。もともと動植物に関心があった彼らは足を止め、スマートフォンのカメラでクロクマの様子を写真に収めることに成功した。

 その後、大きな音を立てたり、石を投げたりして追い払おうと試みたが、クロクマは逃げるどころかパテルさんたちに接近してきた。約4メートルの位置にまでクロクマが迫った瞬間、彼らは恐怖のあまりその場から逃走。散り散りになって走り出したが、パテルさんは木に足を引っかけて転倒してしまう。

 それでも彼は心配する友人に向かって「振り返るな! かまわず逃げろ!」と叫び、岩場を登っていった。それが、パテルさんの最期の言葉となった。

 パテルさんの懸命な呼びかけのおかげで、4人の友人たちは無傷で生還。すぐに警察に通報して助けを求めたが、発見されたのは谷底に落ちた男性の遺体と、その近くにとどまっている熊の姿だった。

遺体は損傷が激しく顔もわからない…

 熊は警察官の手によってその場で射殺された。男性の遺体は損傷が激しく、顔もわからない状態だったが、射殺されたクロクマの腹の中から人間の体の一部やパテルさんの衣類の破片が発見されたことから、身元が特定された。

 クロクマは、136キロで4歳の雄だった。また、生々しい咬み跡が残るパテルさんのスマートフォンには5枚のクロクマの写真が記録されており、彼を殺害した熊と射殺された熊は同じ個体であることが判明した。この写真はアメリカで「死の数秒前の記録」として話題を集めたという。

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