アイドルの恋愛は罪なのか? を問う深田晃司最新作。本作で業界の慣習に抗うヒロイン・真衣を演じるのが日向坂46の元メンバーである齊藤京子さんだ。まず、その出演の経緯を伺った。

「脚本を読んで絶対に真衣を演じたくてオーディションを受けました。以前から深田作品のリアリズムや俳優の存在感に惹かれていたので、作品への参加が決まった時は本当に嬉しかったです」

齊藤京子 ©︎杉山拓也/文藝春秋

初めての体験の連続だった

 深田監督はリアリティを追求する作風で知られる。齊藤さんは撮影前から初めての体験の連続だったと語る。

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「まずキャストみんなで“本読み”をやりました。ドラマのお芝居と違い、相手の顔を見ずに書かれた言葉にひたすら集中するなんて初めてでした。言い回しに感情を入れてキャラクターを掘り下げていく中、監督からは『次のセリフは間を空けて、少し表情を見るように』という指示があり、あの時間は大変でしたが、とても刺激的でした。

 そして次のステップは室内でリハーサルを行いました。雨の中、真衣と恋人の敬(倉悠貴)が感情をぶつけ合うエモーションが高まる場面だけは、実際にロケ撮影する商店街へ行き、実地でリハーサル出来たおかげでモチベーションが高まり、本番の撮影でも芝居に入りやすかったです」

 

徹底したリアリティの追求

 こうした演技の積み上げだけではなく、劇中のアイドルグループ〈ハッピー☆ファンファーレ〉の歌やダンスのトレーニングも積んでいった。

「練習はみっちり2カ月近くやりました。しかも本編中に登場するポスターやグッズまで全てリアルに写真撮りして作りました」

 実際のアイドルだった齊藤さんが架空のグループアイドルの一員を演じる。そのようなパラレルな演技体験は難しかっただろうか?

「逆にとても楽しかったです。ライヴや握手会の場面は実際に私が経験した時間を追体験し、それをドキュメントされるみたいな感じがしました」

©2025「恋愛裁判」製作委員会

 劇中のライヴ場面は前半の白眉だ。歌と踊り、観客の熱狂もリアルに描かれている。

「あの観客の皆さんは、私やハピファンを演じるみんな(仲村悠菜、小川未祐、今村美月、桜ひなの)のファンの方がエキストラとして参加して下さったので、熱量もすごく、思わず私もファンの皆さんが醸し出す空気に巻き込まれました」