スターの魅力と演技者の技量

――アルジュンさんが学んだ演劇学校で俳優志望者向けマスタークラスを教えた際に、「スターは誰でも識別できる動きをするが、演技者はキャラクターになりきらなければいけない。スターと演技者の比率については自分も日々試行錯誤している」とおっしゃっていたのが印象的です。プシュパを演じるに際して「アイコン・スター」のイメージと荒々しい密輸王の立ち居振る舞いをどう演じ分けましたか。

アルジュン プシュパのキャラを創り上げるにあたっては、スターの魅力と演技者の技量を熟知しているスクマール監督にとても助けられました。スターと演技者の配分は動的なものです。プシュパの座り方やショットの選択など、あらゆる場面で「マス(一般大衆)」向けの商業映画のヒーローの型を意識しています。たとえば「俺は一歩も引かない」という決め台詞や彼の決めポーズ。これらはスターを輝かせるための要素です。同時に注意深く観ればプシュパの複雑な内面を表すために細部まで凝った役作りをしています。たとえば(本作のポスターを指さし)小指の爪を見てください。

『プシュパ 君臨』

――左の小指の爪を長くのばし赤いマニュキュアを塗っているのにはどういう意味があるのでしょうか。

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アルジュン 私の服を仕立ててくれる職人も小指の爪を長く伸ばしていましたが、裕福な暮らしの象徴と見なされています。プシュパの指輪にも注目してください。インドの習わしに従って、幸運をもたらす貴石を身に着けています。ギラギラした貴金属で飾り立てる一方で、寺院で10ルピーで買える黒い紐のネックレスをしています。このようにプシュパのスタイルは彼のバックグラウンドや属するカルチャーに根差しています。どこかの国のギャングではなく、舞台となった土地の人間だと視覚的にわかるように工夫しています。