「花」を意味する女性の名前をつけたギャング
――プシュパのキャラは前作『プシュパ 覚醒』から深まったように感じますが、最初から計画されていたのでしょうか。
アルジュン プシュパのキャラについてはある程度、最初から枠組みがあります。本作では特にトップに上り詰めた結果どれほど傲岸になり、豪華絢爛な生活をしているかを強調しています。すべてのシーンでプシュパの衣装や立ち居振る舞いに注目してください。たとえば、すべての衣装は布地から特注で、どこかにプシュパの紋章である「交差した斧」が入っています。プシュパの内面については女性――彼の妻や母親そして女神――に対する言動に表れています。彼は決してただの暴力的な「有害な男性」ではありません。子ども時代から差別を受け、心に傷を抱えながら前進を止めない人物として演じました。
――スクマール監督は本作にインドの文化的要素を巧みに織り込んでいます。プシュパという言葉はサンスクリット語で「花」という意味だそうです。通常は女の子の名前なのでしょうか。
アルジュン そうです。花を意味する女性の名前です。通常ギャングのボスは人を恐ろしがらせるようないかつい名前を名乗ります。ところが本作では「花」を意味するやさしい名前の人物がすさまじい暴力をふるってギャングや政治家をやっつける。この意外性がスクマール監督の天才的な着想です。「プシュパの意味は……」という台詞に注目してください。プシュパの行動がエスカレートする度に変わっていきますから。
女性の性的欲望を表現するのは一種の禁忌だった
――インド映画では女性が男性の性的欲望の対象として描かれることが殆どですが本作では妻の側が積極的に描かれているのがユニークと感じました。
アルジュン 性的なアクションを起こすのはいつも男性からと描かれてきたのは、女性の性的欲望に言及するのが一種の禁忌だったからです。でも現実にそんなことはないですよね。女性にも欲望はあるし、アクションを起こす。スクマール監督はプシュパと妻の関係にそうした現実を反映させたかった。個人的にはとてもうまくいったと思います。夫と妻の間の特別な関係をいやらしくなく、ある種かわいらしくユーモラスに描いています。
――本作の中で特に気に入っているシーンを教えてください。
アルジュン 冒頭の「日本」のシーンはお気に入りの一つです。撮影に30日間かかりました。港で撮影する許可の取得、難しいアクション、なにより日本語の台詞を覚えなければいけませんでした(笑)。日本語の先生について台詞の特訓もしました。(日本語で)「こんにちは。日本の友よ。元気か? 俺の荷物の届く国をずっと見たかったんだ。やっと来れた」。

