「『最初で最後の主演となるかもしれない』と、俳優人生を賭けて映画の撮影に臨んでくれました。その俳優さんが大河ドラマで大役を演じている。そりゃあ、うれしいですよ」

 織田信長の重臣・柴田勝家役の山口馬木也(まきや)(52)の出演を手放しで喜ぶのは、『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督(58)だ。

芸歴28年のベテラン

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時給650円バイトで朝まで勤務

『八重の桜』や『鎌倉殿の13人』など四度の大河出演歴がある山口だが、いずれも端役に甘んじてきた。

「今作では重要な役どころを担う。山口演じる柴田勝家は勇猛果敢な猛将で、秀吉・秀長兄弟の天下統一に立ちはだかる大きな壁。晩年には宮﨑あおい(40)演じる信長の妹・市と夫婦となります」(芸能デスク)

 岡山出身の山口は京都の大学で油絵を学んだ後、1994年に上京。渋谷のジャズクラブ「The Room」でアルバイトを始めた。同クラブのオーナーでDJの沖野修也さんが山口の“夜明け前”を明かす。

「馬木也は京都時代からミュージッククラブで働いていた即戦力で、DJとしてお客さんを酔わせた。女性ファンがついて人気者でした。時給は当時の最低時給650円ほどで、夕方6時から翌朝5時までみっちり働いてくれました」

 沖野さんが今でも鮮明に覚えているのが、山口が運転するバイクの後ろに乗って国道246号線を渋谷から三軒茶屋方面に向かっていた時のこと。渋谷区・神泉のアンダーパス(地下道)を抜けると、

「馬木也がね、『俺、役者になりたいんですよ』って熱っぽく語るんですよ。当時、店に浅野忠信や西島秀俊ら俳優がよく来ていたから、彼らの影響もあったのかな。その時にぼくが『絶対夢叶うから頑張れ』って返したことが励みになったそうなんです」(同前)