愛知県一宮市で昨年5月、妊婦が車にひかれ死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)罪に問われた児野尚子被告(50)の公判が26日、名古屋地裁一宮支部(鳥居俊一裁判長)であった。重い障害を負って生まれた長女について「母体の一部」として起訴内容に明示する訴因変更が認められ、検察側が障害の程度を立証した。
変更後の起訴内容は昨年5月21日、一宮市の路上で車を運転中、妊婦の研谷沙也香さん=当時(31)=をひき、研谷さんに急性硬膜下血腫、胎児だった日七未ちゃんに循環不全などの傷害を負わせ、研谷さんを2日後に死亡させたとした。
刑法上、胎児は「母体の一部」と解されるため、検察側は事故直後に緊急手術で生まれた日七未ちゃんを「独立した被害者」と見なすことはできないと判断した。
一方、この日行われた追加の冒頭陳述で、日七未ちゃんについて「頻繁に命の危機に直面し、そのたびに家族が治療方針の選択を迫られながらも今日まで成長している」「24時間ケアが必要な状態にある」などと指摘した。
被告人質問で、児野被告は「日七未さんも大切な1人の命で被害者だと思った」と語った。
日七未ちゃんに対する過失運転致傷罪での立件を求めていた父の友太さん(33)は、閉廷後の記者会見で「残念な結果で、法的な壁は非常に大きかった」と話し、悔しさをにじませた。

