その後、学校の聞き取り対象ではなかった別の同級生が、警察署で「ダイキさんが倒れている側に、カッターを持ったAが立っていた」と重要な証言を行った。 一方、学校側の対応は相変わらず不誠実なものだったという。
「担任に息子の安全確認をお願いしても、『ずっとなんか見ていられませんよ』と突き放すような言い方をされました。生徒指導の責任者に電話をしても『今、忙しいんで……』と一方的に切られる。あまりに舐められていると感じ、夫に電話を代わってもらいましたが、今度は何度かけても留守番電話になるんです。学校の勤務時間内にかけているのに、ですよ。着信表示を見て、意図的に留守電に切り替えているのではないかと疑わざるを得ませんでした」(母親)
周囲に「ムシャクシャしていたから」と漏らしていた
警察では「覚えていない」と答えていたAだったが、12月頃に検察が行った事情聴取に対しては一転して「切ったことは間違いない」と認めた。しかし、「ダイキに『やってみろよ』と言われたからやった」とも証言していた。
しかし、Aに近い生徒たちに確認したところ、そのようなやり取りは「なかった」と断言した。同時に、「なぜ切りつけたのか」という問いに対し、Aは周囲に「ムシャクシャしていたから」と漏らしていたという。もしそれが真実であれば、Aは自分のストレス解消のために、たまたま近くにいたダイキさんを刃物で襲ったことになる。これは単なる喧嘩ではなく、極めて危険な「通り魔的犯行」だ。
学校側との話し合いが平行線をたどる中、両親は自治体の議員や県議会議員に助けを求めた。県教育委員会を介してようやく話し合いが再開され、当初は「傷害事件」として扱う話が出ていたが、最終的には「いじめ防止対策推進法」の「いじめ重大事態」として調査されることになった。第三者委員会よりも、学校主体の調査の方が迅速に動けるという理由から、弁護士と、事件に関わっていない他学年の教員による調査が始まった。
