2022年6月27日、埼玉県立の中高一貫校の中学3年生だったダイキさん(仮名)は、教室で昼休み明けの5時間目の準備をしていた。同級生のAにカッターで切りつけられ、右膝の内側を大きく切る重傷を負った。
しかしダイキさんはAの報復を恐れて言い出せず「自分で転んだ」と証言し、両親もそれを信じていた。
しかし3年後、高校卒業が近づくタイミングで勇気を出して怪我の原因がAのカッターだったことを告白した。しかし学校の対応はにぶいものだった……。
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2025年6月、ようやく事件が公になった。しかしダイキさんの勇気ある告白を受けてもなお、学校側は警察へ通報しなかったため、両親は自分たちで警察署へ向かい、被害届を提出した。
警察が動き出したことで担任からようやく電話があり、6月18日に話し合いの場が設けられた。
「この間も、学校側から『警察に相談しました』という報告は一切ありませんでした。学校との話し合いには私とダイキが参加し、学校側が把握している状況報告を受けました」(父親)
担任はクラスメイトに目撃情報の聞き取りを行っていた
この席で、驚くべき事実が父親に伝えられた。
「事件当時、あるいはその翌日に、担任はクラスメイトに目撃情報の聞き取りを行っていたというのです。その結果、倒れているダイキのそばでカッターナイフを手にしたAが立っていたという複数の証言がすでに得られていた。なぜその時点で学校は動かなかったのか……」
中学から高校まで、Aとダイキさんは別々のクラスであり、クラス替えもなかったため、本来接点はないはずだった。あの日、ダイキさんは偶然そこに居合わせただけで、Aのターゲットにされたのだ。
「話し合いでは、今後の息子の身の安全をどう保障するのかという点に終始しました。卒業まで、確実に身を守ってほしいと切に願いました」
受理された被害届に基づき、7月28日の夏休み中、事件現場となった教室で実況見分が行われた。9月18日にはAに対する事情聴取が実施されたが、Aは当初「昔のことだから覚えていない」と逃げの姿勢を見せた。
